星月夜

フィンセント・ファン・ゴッホ《星月夜》1889年
星月夜The Starry Night
1889年
油彩、73.7 × 92.1 cm
ニューヨーク近代美術館(ニューヨーク)

この作品のデータ

作者フィンセント・ファン・ゴッホ同じ作家の作品 14点
制作年1889年
時代印象派以後同じ時代の作品 105点
様式ポスト印象派同じ様式の作品 19点
種別絵画
技法・素材油彩
所蔵ニューヨーク近代美術館ニューヨーク同じ所蔵の作品 3点
有名度★★★名画クイズの無料の54点に収録
何がすごいのか

夜空の絵ですが、ゴッホはこれを昼間にアトリエで描きました。1889年6月、南フランスのサン=レミの精神病院で療養していたときの作品で、病室の東向きの窓から見た夜明け前の眺めがもとになっています。ただし手前の村と教会は窓からは見えず、想像で描き加えたものです。

見どころ

渦を巻く夜空

画面上部には、渦を巻くように塗り重ねられた雲と星が広がっています。ドン・マクリーンの楽曲「ヴィンセント」の歌い出し「Starry, starry night」は、この光景に由来します。

黒くそびえる糸杉

画面手前には、黒く塗り重ねられた糸杉が大きくそびえています。渦を巻く夜空とは対照的に、輪郭のはっきりした太い筆致でまとめられています。

眠る村と教会の尖塔

画面下には、明かりの灯る家々と教会の尖塔が並ぶ静かな村が描かれています。動きの少ない地上と、渦巻く夜空の対比が際立つ構図です。

サン=レミの精神病院で

1888年12月末に自分の耳を傷つける事件を起こしたゴッホは、1889年5月8日、サン=ポール・ド・モゾール修道院の精神病院に自ら入院しました。病室の窓からの眺めを、彼は少なくとも21回描いています。

病室で油絵を描くことは許されず、ゴッホはインクや木炭でスケッチを描き、それをもとに1階のアトリエで油彩に仕上げました。5月末から6月初めのテオ宛ての手紙には、日の出のずっと前に窓から田園を眺め、とても大きく見える明けの明星のほかには何もなかった、と書いています。

同じ「星月夜」の名で呼ばれる絵に、1年前の1888年9月にアルルで描いた『ローヌ川の星月夜』があります。こちらはパリのオルセー美術館の所蔵で、渦を巻く空ではなく、ローヌ川の対岸のガス灯と北斗七星を描いています。

ゴッホ自身はこの絵に満足しておらず、1889年11月末のエミール・ベルナール宛ての手紙で「失敗」と呼んでいます。作品は1941年、リリー・P・ブリスの遺贈によってニューヨーク近代美術館の永久コレクションに加わりました。

1889年6月の本当の空

制作の時期が1889年6月中旬にほぼ絞られているため、天文学の側からこの絵の空を確かめた研究があります。その春のプロヴァンスでは、夜明けの東の空に金星が実際に見えていたことが分かっています。一方、当時の月は満月を過ぎて欠けはじめた丸みの大きい形で、絵の細い三日月とは違います。

大阪市立科学館の石坂千春さんは、月の形や位置が実際の空と異なり、金星以外の星は特定されていないと指摘しています。現地の調査では、病室の窓から東を見ても絵のような山や村は見えませんでした。石坂さんは、アトリエの窓から見た西の空を描いたのではないかという仮説も示しています。

「ヴィンセント」という歌になった絵

アメリカのシンガーソングライター、ドン・マクリーンはこの絵のプリントを手元に置きながら楽曲「ヴィンセント」を書きました。1972年にシングルカットされると、イギリス、アイルランド、イタリアなどでチャート1位を記録しています。

音楽と物語を横断して

フランスの作曲家アンリ・デュティユーは、この絵から管弦楽曲「音色、空間、運動」の着想を得たとされています。中国のSF小説『三体III 死神永生』でも、ひも理論を語る場面でこの絵への言及があります。

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よくある疑問

『星月夜』はどこにある?

アメリカ・ニューヨークのニューヨーク近代美術館(MoMA)の所蔵です。1941年にリリー・P・ブリスの遺贈によって同館の永久コレクションに加わりました。

『星月夜』はいつ描かれた?

1889年6月中旬に描かれ、6月18日ごろには仕上がっていました。ゴッホが5月8日にサン=レミの精神病院へ自ら入院してから、およそ1か月後のことです。夜の景色ですが、制作したのは昼間の院内のアトリエで、病室の窓から描いたスケッチをもとにしています。

何が描かれている?

渦を巻く夜空に10個ほどの星と右上の三日月、ひときわ明るい金星(明けの明星)が描かれ、左手前に糸杉、下に教会の尖塔のある村が広がります。村は病室の窓からは見えない景色で、別の場所で描いたスケッチをもとに加えられました。

映画や小説にも登場する?

2012年に日本公開されたウディ・アレン監督の映画『ミッドナイト・イン・パリ』のポスターに部分的に使われました。中国のSF小説『三体III 死神永生』でも、ひも理論を語る場面でこの絵に言及されています。

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フィンセント・ファン・ゴッホのほかの作品

《ジャガイモを食べる人々》 《モンマルトルの風車》 《自画像》 《タンギー爺さん》 《ひまわり》 《夜のカフェテラス》 《ファンゴッホの寝室》 《赤い葡萄畑》 《ローヌ川の星月夜》 《跳ね橋》 《花咲くアーモンドの木の枝》 《ポプラ林の中の二人》

出典・画像について

画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル

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