
この作品のデータ
| 作者 | ワシリー・カンディンスキー | 同じ作家の作品 2点 |
|---|---|---|
| 制作年 | 1920年 | |
| 時代 | 印象派以後 | 同じ時代の作品 105点 |
| 様式 | — | |
| 種別 | 絵画 | |
| 技法・素材 | 油彩、カンヴァス | |
| 所蔵 | 大原美術館倉敷 | 同じ所蔵の作品 4点 |
| 有名度 | ★★★ | |
| 展覧会 | 宮城県美術館特別展 カンディンスキー 世界は鳴りひびく ―日本のコレクションでたどる画業と反響―宮城県美術館(宮城県)2026年9月12日(土)〜10月28日(水) | 開催中 |
この絵には、ほぼ同じ構図の前年の作品があります。1919年の《尖りのある絵》と比べると、背景のまだらな色が消え、円や三角形の輪郭がくっきりしています。カンディンスキーがロシア時代に、幾何学的な抽象へ移っていく途中の1枚です。
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見どころ
中央の色の縞
画面の中央には、黄・赤・緑などの色の帯が平行に重なった形があります。まわりには、とがった三角形や曲がった帯がいくつも寄り集まっています。
黒い円と赤い円
画面の下半分には、黒い円や赤い円が置かれています。前年の作品とモチーフは同じですが、この1920年の作品では円や三角形の形がより明瞭に縁どられています。
右上の斜めの線
画面の右上には、黒と赤の線を束ねたような斜めの形があります。ほかの形から離れて置かれ、むらのない黄土色の背景の上に浮かんで見えます。
公職に追われたロシア時代
カンディンスキーは1914年の第一次世界大戦の開戦を機にロシアへ戻り、モスクワの自宅で十月革命を迎えました。革命後は教育人民委員会のもとで、美術館や美術学校、研究機関の役職を務め、革命後の芸術行政の中心にいました。
1918年以降は公職で忙しく、描いた作品の数は多くありません。それでもロシア時代には、身近な風景や、初期のミュンヘン時代に多かったおとぎ話風の女性像など、さまざまな絵を描いています。幾何学的な抽象への大きな移行が作品にあらわれるのは、1920年以降のことです。
同時代の前衛との接点
前年の《尖りのある絵》は暗い色調で描かれ、とがった形で埋め尽くされています。所蔵するロシア美術館は、そこにソビエト・ロシアでの画家の孤立感が表れているのかもしれないと解説しています。1年後の本作では、画面の色が明るくなり、背景は平らな黄土色に変わりました。
研究者の笹野摩耶は、背景を均一に塗る処理や、形が地の上に浮かぶような効果に、マレーヴィチら同時代のロシアの前衛画家との接点を見ています。こうした背景や単純な幾何学的な形は、のちのバウハウス時代の作品の特徴になっていきます。円や正方形を組み合わせた『コンポジションVIII』(1923年)は、その時代の作品です。
読んだらクイズ
この拡大は、どの見どころ?

黒い円と赤い円画面の下半分には、黒い円や赤い円が置かれています。前年の作品とモチーフは同じですが、この1920年の作品では円や三角形の形がより明瞭に縁どられています。
次に見る1枚
よくある疑問
- 『尖端』はどこにある?
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岡山県倉敷市の大原美術館が所蔵しています。大原美術館は1930年に開館した、西洋美術を中心とする日本で最初の私立美術館です。展示されているかどうかは時期によって変わります。
- 前年の《尖りのある絵》とどう違う?
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《尖りのある絵》(1919年)はロシア美術館(サンクトペテルブルク)にあり、大きさは126 × 95 cmです。研究では、構図が似ていることから本作をそのヴァリエーションと見ています。本作では背景が均一に塗られ、四方に飛び交っていた形が整理されて、より厳格な画面になっています。
- なぜ幾何学的な形を使った?
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円や方形、三角形を組み合わせた絵は、革命後のロシアで主流になった様式でした。1915年にマレーヴィチが白地に黒い方形を描いた作品を発表すると、ロトチェンコなど多くの画家が続きました。1920〜21年のカンディンスキーの作品が、こうした同時代の幾何学的抽象と共通する特徴を持つことは、たびたび指摘されています。



