
この作品のデータ
| 作者 | グスタフ・クリムト | 同じ作家の作品 4点 |
|---|---|---|
| 制作年 | 1907〜1908年 | |
| 時代 | 印象派以後 | 同じ時代の作品 105点 |
| 様式 | ウィーン分離派 | 同じ様式の作品 4点 |
| 種別 | 絵画 | |
| 技法・素材 | 油彩、カンヴァス | |
| 所蔵 | オーストリア・ギャラリーウィーン | 同じ所蔵の作品 2点 |
| 有名度 | ★★★名画クイズの無料の54点に収録 |
題は『接吻』でも、2人の唇は触れていません。男性が口づけているのは女性の頬です。グスタフ・クリムトが金箔・銀箔・プラチナ箔を貼って描いた『金の時代』の代表作で、まだ仕上がっていないうちに国が2万5000クローネで買い上げました。存命の画家の絵に近代美術館が払った、当時の最高額です。
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見どころ
抱き合う2人の横顔
男性は女性の頬に口づけ、女性は目を閉じてその手に自分の手を重ねています。2人を包む金地は、クリムトが『金の時代』に多用した金箔の技法によるものです。この2人の顔立ちは、クリムト自身と恋人エミーリエ・フレーゲがモデルとされています。
男性のマントの四角模様
男性がまとうマントには、黒と白を基調にした四角形の模様が並びます。金箔を使ったこの装飾表現は、しばしば日本の琳派の影響を受けたものと指摘されています。美術史学者の新関公子は、この模様がオーストリア応用美術館所蔵の漆塗り見本にインスパイアされたと推測しています。
花に埋もれる足元
2人は色とりどりの花が咲く草地の縁にひざまずいています。180×180cmの正方形のカンヴァスいっぱいに、全身を覆う金箔の表現が広がる構図です。
クンストシャウでの高評価
『接吻』は注文によらずに描かれ、1908年6月にウィーンの総合芸術展『クンストシャウ』で発表されました。展覧会のカタログには『恋人たち(Liebespaar)』の題で載っています。会場では大好評を博し、開幕から10日後の7月10日に、近代美術館(モデルネ・ガレリー)の委員会が買い上げを決めました。
このときの文部省の記録には、画面の左下がまだ仕上がっていないと書かれています。クリムトは閉幕後に絵をアトリエへ戻して数か所に手を入れ、1909年7月に美術館へ納めました。直前のウィーン大学の天井画(学部の絵)は激しい批判を受けており、所蔵館の解説は、この買い上げがその件の埋め合わせだった可能性を指摘しています。
『接吻(Der Kuss)』の題が初めて使われたのは、1909年秋の近代美術館のカタログです。英語圏では『The Kiss』の題で紹介されています。現在はウィーンのベルヴェデーレ宮殿内にあるオーストリア・ギャラリー(オーストリア絵画館)に収蔵されています。
四角い模様の男性と花模様の女性
男性は四角い幾何学模様の衣をまとい、つる草の冠をかぶっています。女性は花模様のドレスに花の冠をつけ、目を閉じて顔を上に向けています。2人がひざまずく花の草地は、女性のむき出しの足元で途切れており、その外側は平らな金地です。
画面は油彩に金箔を貼り、銀やプラチナも加えて仕上げられています。クリムトはラヴェンナのサン・ヴィターレ聖堂でビザンティン様式の金のモザイクを見ており、その経験が『金の時代』の作品につながったとされています。
同じ『金の時代』の作品には、『ダナエ』や『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』があります。1909年の『ユディトII』はこの時期の終盤にあたり、1910年代に入るとクリムトは金箔を用いる装飾的な作風から離れていきました。
『接吻』という題の作品
同じ題の作品では、ロダンの大理石彫刻『接吻』(1882年)が知られています。ダンテ『神曲』地獄篇のパオロとフランチェスカを表したもので、もとは『地獄の門』を飾る浮彫の一部として構想されました。同じ門の群像から独立した作品には、ロダンの『考える人』もあります。イタリアの画家アイエツも1859年に中世の衣装の男女を描いた『接吻』を残しており、ミラノのブレラ美術館が所蔵しています。
キリストが裏切られる場面を描いたジョットの『ユダの接吻』は、題が似ていても主題はまったく別のものです。
読んだらクイズ
この拡大は、どの見どころ?

男性のマントの四角模様男性がまとうマントには、黒と白を基調にした四角形の模様が並びます。金箔を使ったこの装飾表現は、しばしば日本の琳派の影響を受けたものと指摘されています。美術史学者の新関公子は、この模様がオーストリア応用美術館所蔵の漆塗り見本にインスパイアさ…
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よくある疑問
- 『接吻』はどこにある?
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オーストリア・ウィーンのベルヴェデーレ宮殿の上宮(オーストリア・ギャラリー)にあります。1909年に近代美術館(モデルネ・ガレリー)に収められて以来の所蔵で、1997年からはウィーンの外へ貸し出されていません。180×180cmの正方形のカンヴァスです。
- モデルは誰?
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クリムト自身と、恋人だったエミーリエ・フレーゲとする説がよく知られています。初期の素描では男性にひげがあったことなどが根拠に挙げられますが、ベルヴェデーレの解説は、本当にこの2人かどうかは決められないとしています。
- なぜ金色が多いの?
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クリムトが『金の時代』と呼ばれる時期に金箔を多用した作品を多く手がけたためです。『接吻』は人物に金箔・銀箔・プラチナ箔を貼り、背景には真鍮の箔を使っています。ラヴェンナのサン・ヴィターレ聖堂で見たビザンティン様式のモザイクや、日本の琳派の影響が指摘されています。
- 『接吻』の意味は?何を表している?
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花の咲く草地の縁で、金色の光に包まれて一つに溶け合う男女を描いた、愛の寓意と読まれています。所蔵館の解説では、足元の花は愛の幸福を表すとされます。アモルとプシュケ、パオロとフランチェスカ、ディオニュソスとアリアドネなど、物語の恋人に重ねる研究者もいます。
- 『接吻』という題の有名な作品は他にもある?
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あります。ロダンの大理石彫刻『接吻』(1882年)はダンテ『神曲』地獄篇のパオロとフランチェスカを表した作品で、アイエツの油彩画『接吻』(1859年)はミラノのブレラ美術館にあります。クリムトの『接吻』はこれらとは別の作品です。
グスタフ・クリムトのほかの作品
《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I》 《ダナエ》 《ユディトII》
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル



