
一見ただの黒い四角ですが、1990年のX線調査で下には色とりどりの絵が塗り込められていることがわかりました。中央には大きなひび割れも走っています。発表の際、マレーヴィチはこの絵を、ロシアの家々でイコンを飾る「聖なる隅」に掲げさせました。
見どころ
中央に走るひび割れ
黒い絵具の中央には大きなひび割れがあり、同じようなひびは他の箇所にも見られます。塗料の劣化がそのまま画面に残っています。
あとから塗られた白い余白
四角形を囲む白い余白は、黒い正方形が完成したあとに塗り重ねられたと考えられています。単純な二色の絵に見えて、制作には複数の段階があります。
X線で見つかった下の絵
1990年のX線調査で、黒い絵の具の下から多彩な色の層が見つかりました。マレーヴィチはこの一枚を、何段階にもわたって塗り重ねていたことになります。
リアリズムから至高主義へ
20世紀初頭のロシアでは、詩人マヤコフスキーや演出家メイエルホリドらが活躍する芸術運動、ロシア・アヴァンギャルドが起こりました。マレーヴィチもその中心人物の一人です。リアリズムから印象派、フォーヴィスムやセザンヌ風の絵画、キュビズムへと作風をめまぐるしく変え、最終的にたどり着いたのがシュプレマティズム(至高主義)でした。
『黒の正方形』が生んだ変奏
2007年、ロシアの美術館で『黒の正方形』をモチーフにした作品の特別展が開かれ、100人を超える芸術家による350点の作品が集まりました。日本でも、詩人の北園克衛がこの絵から着想を得た詩を書いており、視覚的な「具体詩」の例としてポルトガル語に翻訳されています。
よくある疑問
- 『黒の正方形』はどこにある?
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ロシア・モスクワのトレチャコフ美術館に所蔵されています。
- なぜ「無対象絵画」と呼ばれる?
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マレーヴィチは何かの物を再現することをやめ、色彩そのものを絵画の本質としました。具体的な「もの」が描かれていないことから、「無対象」と呼ばれています。
- 本当にただの黒い四角?
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見た目は単純な黒い四角ですが、中央には大きなひび割れがあり、1990年のX線調査では下から複数の色の層が見つかりました。白い余白も黒い正方形が完成したあとに塗り重ねられています。
- 発表されたときどんな展示だった?
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1915年にペトログラードで開かれた「0、10展」で発表されました。展示位置は、ロシアの家庭でイコンを飾る「聖なる隅」にあたる、壁と天井が接する角でした。
基本データ
- 作者
- カジミール・マレーヴィチKazimir Malevich
- 制作年
- 1915年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 79.5 × 79.5 cm
- 様式
- シュプレマティスム
- 所蔵
- トレチャコフ美術館(モスクワ)
- 展示室
- 印象派以後
出典・画像について
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