
ギリシャ神話の怪物ポリュペーモスは、本来なら人を喰らう恐ろしい一つ目の巨人です。しかしルドンが描いたポリュペーモスは、恥ずかしがって岩陰に身を隠す、おとなしい生き物として描かれています。無防備に横たわるガラテイアを、そっと見つめるだけです。色づかいと筆致は印象主義の技法に近いのに、主題はまったく異なります。
見どころ
岩陰に隠れる一つ目
本来なら人を喰らう恐ろしい怪物のはずが、ルドンのポリュペーモスは大きな一つ目でやさしくガラテイアを見つめています。恥ずかしさから岩山の陰に身を隠し、正面から向き合うことができません。
横たわるガラテイア
水の妖精ガラテイアは、裸のまま無防備に植物の上に横たわっています。ポリュペーモスに見つめられていることに気づいていないかのような姿です。
夢を思わせる色彩
色使いと点描のような筆遣いは印象主義の技法に近いとされますが、主題は同時代の印象派とはまったく異なります。ルドン自身の内的世界から生まれた情景です。
怪物を怖く描かなかった選択
以前からポリュペーモスを題材とした作品はギュスターヴ・モローなどによって描かれてきましたが、ルドンは異なる新たな像を生み出しました。神話の中の大部分のキュクロープスは、獲物を狩って食べ尽くす野生の生き物、悪役として登場します。しかしルドンが描いたポリュペーモスは、恐ろしくない、受動的な生き物として描かれています。
印象主義とのねじれ
この絵は色使いと点描のような筆遣いに基づけば印象主義のカテゴリに当てはまるものの、当時の他の印象主義の作品や画家とは主題において著しく異なっています。ルドンは架空の事物とありえない獣たちで満たされた強烈な内的世界に憑かれていました。その情景は夢の世界から来たものです。
よくある疑問
- 『キュクロプス』はどこにある?
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オランダのクレラー・ミュラー美術館(オッテルロー)が所蔵しています。
- 誰が描いた?
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象徴主義の画家オディロン・ルドンが、1898年から1914年ごろの間に制作したとされています。正確な制作年は定まっていません。
- 何が描かれている?
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ギリシャ神話に登場する一つ目の巨人ポリュペーモス(キュクロープス)が、水の妖精ガラテイアに恋する場面です。ポリュペーモスは岩陰に隠れ、無防備に横たわるガラテイアをそっと見つめています。
- なぜ怖く見えないの?
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ギュスターヴ・モローなど他の画家がポリュペーモスを凶暴な怪物として描いたのに対し、ルドンは恥ずかしがりで受動的な生き物として描きました。ルドンは主題の選び方や表現において、当時の型にはまらない画家でした。
基本データ
- 作者
- オディロン・ルドンOdilon Redon
- 制作年
- 1914年ごろ(1898〜1900年ごろとする説も)
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 64 × 51 cm
- 様式
- 象徴主義
- 所蔵
- クレラー・ミュラー美術館(オッテルロー)
- 展示室
- 印象派以後
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル