
この絵はナチスに没収され、遺族が取り戻すまでアメリカとオーストリアの間で長年の法廷闘争がありました。2006年、当時史上最高額とされる1億3500万ドルで売却され、買い手のローダーは「我々にとってのモナ・リザだ」と語っています。
見どころ
肖像画の主役
銀行家フェルディナント・ブロッホ=バウアーが、妻アデーレをクリムトに依頼して描かせた肖像です。同じモデルを描いた『肖像 II』も1912年に完成しています。
画面を覆う金彩の装飾
油彩の上に金彩を重ね、ユーゲント・シュティール様式の複雑で凝った装飾が画面を埋め尽くしています。クリムトはこの絵の完成に3年をかけました。
油彩と金の質感
キャンバスに油彩と金彩を組み合わせる技法で、装飾の細部が描き込まれています。
略奪と返還への長い道のり
アデーレは自分の遺言で、この絵をオーストリア・ギャラリーに寄贈するよう望んでいました。1925年に彼女が死去した後、1938年のナチスによる併合で夫フェルディナントはスイスに亡命し、絵は資産ごと没収されました。戦後の1945年に一度フェルディナントへ返還されましたが、絵はオーストリアの見解のもとで国内にとどまり続けます。フェルディナントの死後、姪のマリア・アルトマンが相続人に指名されましたが、絵はアメリカに渡ることなく、両国の間で長期の法廷闘争が続きました。2006年、オーストリア法廷の仲裁裁判でアルトマンに5点のクリムト作品の所有権が認められています。
記録的な売却額
所有権を得たのち、絵はロサンゼルスで展示された後、実業家ロナルド・ローダーが1億3500万ドルで購入し、ノイエ・ガレリエに収められました。ローダーはこの絵の獲得について「我々にとってのモナ・リザである」と語っています。同じ年の11月には『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 II』もクリスティーズで約8800万ドルで落札されました。
映画になった返還の物語
マリア・アルトマンの物語は複数のドキュメンタリーで取り上げられました。親族の映画製作者テレンス・ターナーによる『アデーレの望み』は2008年に公開され、アルトマンや弁護士E・ランドール・シェーンベルクへのインタビューで構成されています。2007年の『盗まれたクリムト』も同じ題材を扱い、2015年には劇映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』が制作されました。
よくある疑問
- 『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』はどこにある?
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ニューヨークのノイエ・ガレリエが所蔵し、2006年7月から展示しています。実業家ロナルド・ローダーが1億3500万ドルで購入した絵です。
- なぜナチスに奪われた?
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1938年のナチスによるオーストリア併合で、夫フェルディナントはスイスへ亡命しました。この絵は彼の資産とともにナチスに没収されています。
- 誰の手に返還された?
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1945年に一度フェルディナントのもとへ返還されましたが、絵はオーストリア国内にとどまっていました。フェルディナントの死後、相続人の姪マリア・アルトマンがアメリカとオーストリアの間で長い法廷闘争を経て、2006年に所有権を勝ち取りました。
- 映画になっている?
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はい。マリア・アルトマンの返還をめぐる物語は複数のドキュメンタリーの題材になり、2015年には劇映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』が制作されました。
基本データ
- 作者
- グスタフ・クリムトGustav Klimt
- 制作年
- 1907年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、金彩、カンヴァス
- 寸法
- 約138 × 138 cm
- 様式
- アール・ヌーヴォー
- 所蔵
- ノイエ・ガレリエ(ニューヨーク)
- 展示室
- 印象派以後
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出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル