
この作品のデータ
| 作者 | エドヴァルド・ムンク | 同じ作家の作品 3点 |
|---|---|---|
| 制作年 | 1893年 | |
| 時代 | 印象派以後 | 同じ時代の作品 105点 |
| 様式 | 表現主義 | 同じ様式の作品 6点 |
| 種別 | 絵画 | |
| 技法・素材 | テンペラ、クレヨン、厚紙 | |
| 所蔵 | ノルウェー国立美術館オスロ | 同じ所蔵の作品 2点 |
| 有名度 | ★★★名画クイズの無料の54点に収録 |
叫んでいるのは、描かれた人物ではありません。「ムンクの叫び」の名で知られるこの絵について、ムンクは『自然を貫く果てしない叫び』を聞き、恐怖に耳をふさぐ人の姿を描いたと日記に記しています。同じ構図の『叫び』は全5点あり、うち1点は1億1990万ドルで落札されました。
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見どころ
耳をふさぐ人物
中央の人物は口を開けているように見えますが、叫んでいるのは人物自身ではありません。ムンクは日記で、自分が聞いた『自然を貫く果てしない叫び』に恐怖して耳をふさいでいる姿だと説明しています。
血のように赤い空
画面上部には血のように赤く染まったフィヨルドの夕景が広がります。この赤い夕焼けは、10年前のクラカタウ大噴火の影響を描いたという説がある一方、幻想的な真珠母雲に着想したとする研究もあります。
遠ざかる2人の友人
遠くの橋の上には、ムンクと一緒に歩いていた2人の友人の姿が小さく描かれています。ムンクだけがその場に立ち尽くし、不安に震えながら叫びを聞いたと日記に記しています。
『生命のフリーズ』の一枚
ムンクは幼くして母を、思春期には姉を亡くし、1890年代は病気や死と向き合わざるを得ない日々を過ごしました。この時期、『愛』と『死』、そこから生まれる『不安』をテーマにした作品群を『フリーズ・オブ・ライフ(生命のフリーズ)』と名付けています。『叫び』はその中でもっとも有名な一枚です。
ムンクは1892年1月22日付でニースで記した日記に、この絵のもとになった体験を書いています。夕方、町とフィヨルドを見下ろす道を歩いていると、疲れと気分の悪さを覚えて立ち止まり、沈む夕日で雲が血のように赤く染まるなか、自然を通り抜ける叫びを感じたという内容です。雲を本物の血のように描いた、とも書き残しています。
構図や色使いは1892年の作品『絶望』がもとになっており、ムンク自身も『叫び』のシリーズの一つと位置づけています。発表当初は当時の評論家たちに酷評されましたが、のちに高く評価されるようになりました。実在する舞台として知られるのは、オスロとオスロ・フィヨルドを見下ろすエーケベルグの高台です。
2度の盗難と修復
1994年2月12日、リレハンメルオリンピック開会式の当日に、オスロ国立美術館所蔵の1893年版が盗まれました。ロンドン警視庁美術特捜班によるおとり捜査で、同年5月に犯人が逮捕され、絵は発見されています。
2004年8月22日には、ムンク美術館所蔵のテンペラ画が油彩画『マドンナ』とともに盗まれ、2006年8月31日にオスロ市内で発見されました。ただしテンペラ画は液体による損傷を受けており、完全な修復は不可能でした。2008年5月23日から、修復された『マドンナ』とともに展示が再開されています。
『狂人』の書き込み
オスロ国立美術館が所蔵する版には、左上隅に『狂人のみが描くことができる』という、肉眼では確認できないほど小さな鉛筆書きがあります。この書き込みが気づかれたのは、制作から11年後の1904年、コペンハーゲンで展示された際でした。
長らく評論家か来場者によるものと思われていましたが、2021年2月の赤外線調査と筆跡鑑定により、ムンク自身の書き込みだと結論づけられました。1895年にノルウェーで初めて展示された際、激しい批判とともにムンクの精神状態を疑う声が上がっており、それに反応して書いたのではないかという説があります。
読んだらクイズ
この拡大は、どの見どころ?

血のように赤い空画面上部には血のように赤く染まったフィヨルドの夕景が広がります。この赤い夕焼けは、10年前のクラカタウ大噴火の影響を描いたという説がある一方、幻想的な真珠母雲に着想したとする研究もあります。
次に見る1枚
よくある疑問
- 『叫び』はどこにある?
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もっとも有名な1893年のテンペラ・クレヨン版は、2022年6月に新館が開館したオスロ国立美術館にあります。ムンク美術館(オスロの港地区ビョルヴィカにあり、MUNCHの名で運営)は絵画・素描・版画の3点を4階の常設展『Edvard Munch Infinite』で1点ずつ入れ替えて展示しています。いずれも厚紙や紙で光に弱いため、残りの2点は暗所で休ませています。日本では2018〜2019年に東京都美術館の『ムンク展―共鳴する魂の叫び』で、ムンク美術館のテンペラ・油彩版が初来日しました。
- 『叫び』は何枚ある?
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同じ構図の作品は、絵画2点とパステル・クレヨン画2点の計4点に、1895年のリトグラフ(版画)を加えた5種類です。1893年のクレヨン版(ムンク美術館)、1893年のテンペラ・クレヨン版(オスロ国立美術館)、1895年のパステル版(個人蔵)、1910年ごろのテンペラ・油彩版(ムンク美術館)があり、リトグラフは石版が削られるまでにおよそ4ダース(50枚弱)が刷られました。個人蔵のパステル版は2012年5月にニューヨークのサザビーズで1億1990万ドル(約96億円)で落札され、当時の絵画の競売落札価格の最高値になりました。
- モデルはいるの?
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特定のモデルはいません。1978年、米国の美術史家ロバート・ローゼンブラムはパリの人類史博物館に展示されていたペルーのミイラが人物のモデルだという説を唱えました。丸く落ちくぼんだ目や開いた口など共通点が多いとされますが、確定した説ではありません。
- 「ムンクの叫び」が正式な題名?
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正式な題名は『叫び』で、ノルウェー語では Skrik(叫び)といいます。「ムンクの叫び」は作者名を付けて呼ぶ日本での通称です。ムンクが最初にこの絵を発表したときのドイツ語の題は『自然の叫び(Der Schrei der Natur)』でした。
エドヴァルド・ムンクのほかの作品
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル



