カード遊びをする人々

ポール・セザンヌ《カード遊びをする人々》1892〜95年
カード遊びをする人々The Card Players
1892〜95年
油彩、カンヴァス、60 × 73 cm
コートールド・ギャラリー(ロンドン)
何がすごいのか

セザンヌは晩年、同じ主題を5点も描き分けました。人数を減らし、酒や金といった居酒屋のドラマを消していき、最後にはカードに黙々と没頭する2人だけが残ります。テーブルの中央のワイン瓶は、2人を隔てる境界線のようにも見えます。

見どころ

向き合う2人の対称

テーブルを挟んで向かい合う2人は、ルールに基づく対立の相手であると同時に、互いに支え合うパートナーでもあります。均衡は取れていますが、姿勢も服装も左右で違います。

山高帽と黒い服の男

左の男は、つばのしおれた山高帽をかぶり、相手より黒くフォーマルな服を着て背筋を伸ばしています。煙草をふかしながらカードを見つめています。

境界線のワイン瓶

テーブルの中央に置かれた一本のワイン瓶です。2人のプレーヤーを分ける境界線であると同時に、画面全体の左右対称な構図の中心線でもあります。

居酒屋のドラマを消した絵

この主題は17世紀のオランダとフランスの風俗画の翻案です。ただし従来の風俗画が居酒屋で騒々しく賭博する酔っ払いを描いたのに対し、セザンヌは仏頂面の商売人を簡素な舞台に置き換えました。テーブルには封をされたワイン瓶があるだけで、酒や金は描かれていません。

人数を減らしていった5点

セザンヌは1890年代に、大きさも人数も異なる5点の『カード遊びをする人々』を描きました。最初の版は前景に3人、後ろに見物人2人が並ぶ複雑な構成でしたが、後に制作された3点では見物人を省き、対称的でありながら非対称でもある2人の対峙だけを残しています。かつては大きな画布から小さな画布へ制作を進めたと考えられていましたが、その後の研究で、この順序は疑わしいとされるようになりました。

盗まれた版と最高額の版

パリのオルセー美術館が所蔵する版は、1961年にエクスの巡回展から盗まれた8点のうちの1点でした。身代金が支払われて数ヵ月後に返却されています。個人所有だった別の版は2011年にカタール王族へ売却され、報じられた価格は当時、売却された芸術作品として史上最高額とされました。

よくある疑問

『カード遊びをする人々』はどこにある?

ロンドンのコートールド・ギャラリーが、2人だけを描いたバージョンの1点を所蔵しています。同じギャラリーには関連する習作『パイプを持つ男』も展示されています。

誰がモデルになった?

セザンヌ家の屋敷「ジャ・ド・ブッファン」の小作人をはじめとする地元の農夫たちがモデルです。実際にモデルが座っていたのは完成作ではなく、多数残された習作やスケッチを描く場面だったと考えられています。

『カード遊びをする人々』は全部で何点ある?

セザンヌは大きさも人数も異なる5点を描きました。最初の版は5人が登場する複雑な構成でしたが、後の3点では見物人を省き、2人のプレイヤーだけに絞り込んでいます。

史上最高額で売れたのはどのバージョン?

個人が所有していた2人だけを描いたバージョンで、2011年にカタール王族が推定2億5千万〜3億2千万ドルで購入したと報じられました。コートールド・ギャラリー所蔵のこの絵とは別の1点です。

基本データ

作者
ポール・セザンヌPaul Cézanne
制作年
1892〜95年
種別
絵画
技法・素材
油彩、カンヴァス
寸法
60 × 73 cm
所蔵
コートールド・ギャラリー(ロンドン)

ポール・セザンヌのほかの作品

《リンゴとオレンジ》 《サント=ヴィクトワール山》 《大水浴図》

出典・画像について

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