
セザンヌは『大水浴図』を7年間描き続けましたが、1906年に亡くなるまで未完成のままでした。この絵はかつて収集家レオ・スタインの手元にあり、1937年にフィラデルフィア美術館が11万ドルで買い取りました。
見どころ
三角形に収まる裸婦たち
裸婦の群像は、背景の木々と川がつくる三角形の構図に合わせて配置されています。画面の寸法がほぼ正方形に近いことも、セザンヌの作品の中では珍しい特徴です。
未完成のまま遺された絵
セザンヌはこの絵を晩年の7年間かけて描き続けましたが、1906年の死の時点で未完成でした。「大水浴図」という呼び名は、同じ主題を描いた小さめの作品群と区別するためのものです。
同時代の裸婦群像
抽象化された裸婦の表現が、この絵に緊張感と密度を与えています。同じ時期に描かれたピカソの『アビニヨンの娘たち』と並んで語られることが多い作品です。
セザンヌ流の入浴図
セザンヌは水浴図を描くたびに、伝統的な絵画の見せ方から離れていきました。見る者に迎合しない構図をあえて選び、一時の流行に流されない絵を目指したためだとされています。この姿勢は、後の世代の画家たちが流行にとらわれず制作する道を開いたとも評されています。
裸婦の抽象的な表現は、風景画や静物画で培った技法をそのまま用いたもので、ティツィアーノやルーベンスの作品を思わせるとも言われています。セザンヌの素描力はしばしば批判の対象になりましたが、ある批評家は「拙い描写のはずの水浴図に、のどかな夏の幸福感を吹き込んだ」と評しています。
フィラデルフィアに渡るまで
この絵は長らく収集家レオ・スタインの手元にありました。1937年、フィラデルフィア美術館の大口支援者だったジョゼフ・E・ワイドナーの信託基金によって購入され、同館の所蔵となりました。セザンヌが描いた水浴図の連作の中でも、これが最大の一点です。1980年にはイギリスBBCの番組「100 Great Paintings」でも取り上げられ、セザンヌの最高傑作とみなされることも多い作品です。
よくある疑問
- 『大水浴図』はどこにある?
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アメリカ・フィラデルフィア美術館の所蔵です。1937年、同館の大口支援者だったジョゼフ・E・ワイドナーの信託基金によって11万ドルで購入されました。
- 誰が描いた?
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フランスの画家ポール・セザンヌが1898年頃から、1906年に亡くなるまで手がけました。完成させないまま世を去っています。
- 他にも似た作品がある?
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セザンヌは水浴図を連作として何点も描いており、ニューヨーク近代美術館、ロンドンのナショナル・ギャラリー、バーンズ・コレクション、シカゴ美術館にそれぞれ別バージョンが所蔵されています。この作品はその中で最大の一点です。
- なぜ「大水浴図」と呼ばれる?
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同じ主題を描いた小さめの作品と区別するため、「大きい水浴図」を意味するこの通称で呼ばれています。
基本データ
- 作者
- ポール・セザンヌPaul Cézanne
- 制作年
- 1898年頃〜1906年(未完成)
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 210.5 × 250.8 cm
- 様式
- プロトキュビスム
- 所蔵
- フィラデルフィア美術館(フィラデルフィア)
- 展示室
- 印象派以後
ポール・セザンヌのほかの作品
《カード遊びをする人々》 《リンゴとオレンジ》 《サント=ヴィクトワール山》
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル