ピアノに寄る少女たち

ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノに寄る少女たち》1892年
ピアノに寄る少女たちGirls at the Piano
1892年
油彩、カンヴァス、116 × 90 cm
オルセー美術館(パリ)

この作品のデータ

何がすごいのか

ルノワールは、ピアノに向かう2人の少女をほぼ同じ大きさで6枚描いています。始まりはリュクサンブール美術館からの依頼で、そのために描かれた1枚がオルセー美術館の本作です。残りは画商や収集家の注文に応えて描かれ、ニューヨークのメトロポリタン美術館やパリのオランジュリー美術館、個人コレクションに分かれています。

見どころ

鍵盤に置かれた両手

座ってピアノを弾いているのは、白いドレスに青い帯を締めた少女です。両手は鍵盤の上にあり、視線は譜面に向いています。

身を乗り出す少女

後ろに立つもう1人の少女は、ピンクのドレスを着ています。ピアノに片腕をのせ、弾き手と同じ譜面をのぞき込んでいます。

カーテンと花瓶

舞台はブルジョワ家庭の室内です。右上には花を生けた花瓶が置かれ、背後には緑がかったカーテンが下がっています。

美術館の依頼から始まった連作

ルノワールは1891年の末から、ピアノを楽しむ2人の少女を描き始めました。依頼主はリュクサンブール美術館で、正式な発注ではなく非公式な依頼だったとされています。翌1892年に完成した本作は、ルノワールの後期(1892〜1919年)を代表する作品に数えられます。

同時代の詩人ステファヌ・マラルメは、本作を「成熟期のもっとも自由で、いかにもじっくりと落ち着きのある作品」と評しました。1876年の『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』や1880年の『舟遊びをする人々の昼食』から、10年あまり後の作品です。

モネの連作とは違う「反復」

ピサロやモネも、1つの主題で何枚も描く連作を手がけました。ただし彼らの連作は、並べて展示し、光や大気による変化を見せるためのものです。ルノワールの反復は、1枚ずつが独立した構図の試みでした。

実際、版ごとに細部やポーズが少しずつ違い、習作では背景の大部分が省かれています。寸法もほぼ同じでありながら、少しずつ異なります。オルセー美術館の本作が116×90cmなのに対し、メトロポリタン美術館の版は111.8×86.4cm、オランジュリー美術館の油彩習作は116×81cmです。

似た構図は、1888年の『カチュール・マンデスの娘たち』ですでに試されていました。この絵はメトロポリタン美術館のアネンバーグ・コレクションに入っています。

読んだらクイズ

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よくある疑問

『ピアノに寄る少女たち』はどこにある?

パリのオルセー美術館が所蔵しています。リュクサンブール美術館の依頼で描かれた1枚がこれにあたります。ほかの版はニューヨークのメトロポリタン美術館とパリのオランジュリー美術館でも見られます。

何枚ある?

油彩の完成作が4枚、習作が2枚(油彩とパステル)の計6枚です。完成作はオルセー美術館、メトロポリタン美術館(ロバート・レーマン・コレクション)に1枚ずつあり、カイユボット旧蔵の1枚ともう1枚は個人蔵です。油彩の習作はオランジュリー美術館、パステルの習作は個人蔵です。

なぜ同じ絵を何枚も描いた?

最初の1枚はリュクサンブール美術館の依頼で描かれました。残りは画商や収集家からの注文に応えるためのもので、ルノワール自身はこれらを「反復(repetitions)」と呼んでいました。

「ピアノを弾く少女たち」と同じ作品?

同じ作品です。日本語では『ピアノを弾く少女たち』『ピアノの前の少女たち』とも呼ばれます。フランス語の原題はJeunes filles au pianoです。

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