エトルタの浜辺の漁船

クロード・モネ《エトルタの浜辺の漁船》1884年
エトルタの浜辺の漁船Hollowed Cliff near Étretat
1884年
油彩、カンヴァス、73.5 × 100.5 cm
ヴァルラフ=リヒャルツ美術館(ケルン)

この作品のデータ

作者クロード・モネ同じ作家の作品 10点
制作年1884年
時代印象派以後同じ時代の作品 105点
様式—
種別絵画
技法・素材油彩、カンヴァス
所蔵ヴァルラフ=リヒャルツ美術館ケルン
有名度★★★
展覧会ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち ヴァルラフ=リヒャルツ美術館所蔵名古屋市美術館(愛知県)2026年9月19日(土)〜11月29日(日)開催中
何がすごいのか

1880年代のエトルタは、ホテルやカジノが建つ海水浴場になりつつありました。それでもモネは観光客の少ない季節を選んで滞在し、カジノもホテルも画面に入れませんでした。この絵で浜を占めているのは、荒れた海を前に陸へ引き上げられた漁船です。

見どころ

海に突き出た岩のアーチ

左上には、崖が海に向かって穴のあいた門のように伸びています。エトルタの崖と岩のアーチは、この町の名を知らせる目印になっていました。モネはこの崖を、天気や光を変えながら何度も描いています。

白く砕ける波

画面の中ほどは、うねりと白い波頭で埋まっています。短い筆の跡が横に重なり、風の強い日の海の動きをそのまま写しています。空は灰色がかり、晴れた日の明るさはありません。

浜に並ぶ赤い舟

右下には、赤い船腹の舟と黒い舟が並んでいます。どの舟も波の届かない浜の上に引き上げられ、帆柱だけが空に向かって立っています。その右下には「Claude Monet / 1884」と署名と年が書き込まれています。

観光客を描かない海辺

エトルタはパリに近く、鉄道が延び、医者が海水浴を勧めたこともあって、1850年ごろから行楽地になりました。夏には貴族や裕福な市民が集まり、浴場や別荘、ホテル、カジノが建ち並びます。漁師が海水浴の世話係になるなど、村の暮らしも変わっていきました。

モネは1880年代の初め、この町の崖を描けば売れると考えて何度も足を運びました。滞在はおもに観光の季節を外し、浜に人が少ない時期を選んでいます。カジノやホテル、更衣用の小屋など観光を思わせるものは、画面から外しました。この絵に人影がほとんどなく、舟ばかりが目立つのはそのためです。

窓から描いた日もあった

モネはたいてい外に出て、モチーフの前で描きました。新しい崖の眺めを求めて、危ない場所に立つこともあったといいます。天気の悪い日は、浜に面したホテル・ブランケの部屋にこもり、窓から見える景色を描きました。

いくつもの絵を並行して進め、天気や光が変わるたびに描き分けるやり方は、のちにモネの連作の特徴になります。エトルタは、その描き方が育った場所の一つです。所蔵館の記録では、この絵は同じ構図の先行作を繰り返した一枚とされています。2年後の1886年には、ブルターニュの島で『べリールの岩場、ポール=ドモワ』を描き、荒れた海と岩にふたたび向き合いました。

ケルンに来るまで

この絵は、パリの画廊ベルネーム=ジューヌを経て、ロンドンのアイヴァー・スペンサー=チャーチル卿の手に渡りました。1956年ごろにはロンドンのハルトン夫妻が持ち、1961年まで画廊マールボロ・ファイン・アートにありました。同じ1961年にケルンのヴァルラフ=リヒャルツ美術館が収蔵しています。

読んだらクイズ

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よくある疑問

『エトルタの浜辺の漁船』はどこにある?

ドイツ・ケルンのヴァルラフ=リヒャルツ美術館が所蔵しています。1961年に同館の収蔵品になりました。ロンドンの画廊マールボロ・ファイン・アートが手放すまで、パリやロンドンの所有者のあいだを渡っていました。

エトルタはどんな場所?

フランス北部、ノルマンディー地方の海辺の村です。もとは漁で暮らす村でしたが、1850年ごろから海水浴の客が増え、ホテルやカジノが建ちました。浜は観光客と漁師とで分けられ、漁師の仕事場は狭くなっていきました。

モネはエトルタで何枚も描いたの?

はい。モネは1864年から1886年までに少なくとも6回エトルタに滞在しています。1880年代の初めには、売れる絵になると見込んで何度も戻りました。天気や光の違いを残すため、何枚もの絵を同時に進めていました。

別の題名はある?

所蔵館の記録では、ドイツ語で「エトルタの浜辺の漁船」という題です。英語では「エトルタ近くの穴のあいた崖」という題でも知られています。

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