青衣の女

ヨハネス・フェルメール《青衣の女》1663年頃
青衣の女Woman in Blue Reading a Letter
1663年頃
油彩、カンヴァス、46.6 × 39.1 cm
アムステルダム国立美術館(アムステルダム)

この作品のデータ

何がすごいのか

フェルメールの室内画のなかでは珍しく、この絵には壁や天井の角が描かれていません。画面にあるのは、手紙を読む青い上着の女性と、壁の地図、テーブルと椅子だけです。所蔵館は、ほかのすべての色がラピスラズリの青を引き立てる脇役になっていると解説しています。

見どころ

手紙に見入る横顔

女性は両手で手紙を胸の前に持ち、うつむいて読んでいます。文面はこちらからは見えません。所蔵館は、肌を淡い灰色で塗った描き方を特に新しい試みとして挙げています。

壁に掛かった地図

背後の壁には、巻き軸の付いた大きな地図が掛かっています。描かれているのはオランダのホラント伯領と西フリースラントで、ファン・ベルケンローデが作り1620年に出版した地図です。翌年にはウィレム・ブラウが再版しています。

テーブルの上の真珠

手前のテーブルには箱が置かれ、そのそばに真珠がわずかに見えます。目立たない小物ですが、手紙の差出人を推理する手がかりとして研究者に注目されてきました。

手紙が流行した17世紀オランダ

この絵が描かれた17世紀のオランダでは、初等教育が急速に広まり、近代的な郵便も整いました。その結果、手紙のやりとりが流行します。中心都市では大人の識字率が90%を超えていたと言われ、読み書きのできる女性も少なくなかったと考えられています。

フェルメールは30歳を過ぎたころから、『天秤を持つ女』のように、室内で何かをしている女性の姿を多く描きました。手紙を主題にした作品も何点も手がけており、この社会の変化をいち早く絵に取り入れたとみられています。構図と女性の姿は、1657〜1659年頃の『窓辺で手紙を読む女』とよく似ています。同じ頃の『真珠の首飾りの女』とも共通点があります。

別の絵にも登場する同じ地図

壁の地図は、フェルメールの『兵士と笑う娘』にも描かれています。ただし、そちらの地図は色付きで、この絵では単色の版画として描かれています。

単色の刷りが実際にあったことは、オランダのホールンにある西フリース博物館に残る1枚で確かめられています。絵の中の地図は、画家の想像で描いたものではありません。

美術館に入るまでの道のり

この絵は1712年にアムステルダムで競売にかけられたあと、アムステルダム、パリ、ロンドンで何度も売買されました。1839年に収集家アドリアーン・ファン・デル・フープが手に入れ、遺贈によってアムステルダムの美術アカデミーへ移ります。

1885年にアムステルダム市の所有となり、同じ年から国立美術館に貸し出されています。

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よくある疑問

『青衣の女』はどこにある?

オランダのアムステルダム国立美術館にあります。絵の持ち主はアムステルダム市で、1885年から同館に貸し出されています。同館が開館した年からある、同館で最初のフェルメール作品です。

『青衣の女』には何が描かれている?

画面の外にある窓の前に立ち、手紙を読む女性です。所蔵館によると、朝の光のなかで、まだ青い部屋着(ナイトジャケット)を着たまま手紙に読みふけっている場面です。別名を『手紙を読む青衣の女』といいます。

女性は妊娠しているの?

妊娠しているようにも見えますが、確証はありません。ふくらんだ体つきは当時オランダで流行していた服装のためだ、と多くの研究者が主張しています。この時代の絵画で妊婦が描かれることはごくまれでした。

女性が読んでいる手紙は誰から?

わかっていません。背後の地図を手がかりに、旅に出ている夫からの手紙だとする説があります。テーブルの真珠は虚栄やうぬぼれの象徴として描かれることがあるため、恋人からの手紙だとする説もあります。

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出典・画像について

画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル

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