この作品のデータ
| 作者 | ピーテル・パウル・ルーベンス | 同じ作家の作品 4点 |
|---|---|---|
| 制作年 | 1610〜1611年 | |
| 時代 | バロック・ロココ | 同じ時代の作品 37点 |
| 様式 | バロック | 同じ様式の作品 18点 |
| 種別 | 絵画 | |
| 技法・素材 | 油彩、板 | |
| 所蔵 | 聖母大聖堂アントウェルペン | 同じ所蔵の作品 2点 |
| 有名度 | ★★★ |
十字架を起こすのに、9人の屈強な男たちが全身の力を込めています。これだけの人数が要るのは、世界のすべての罪を背負ったキリストの体の重さを目に見える形にしたためだとされます。イタリア帰りのルーベンスが故郷で最初に描いた大作で、ネーデルラントにバロック美術を広めるきっかけになりました。
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見どころ
天を仰ぐキリスト
イバラの冠をかぶせられたキリストは、両腕を上げて天を見上げ、口を半ば開いています。神に語りかけているような表情で、その顔は古代彫刻『ラオコーン』の父親像をもとにしたとされます。釘を打たれた手は、固く握りしめられています。
嘆き悲しむ女性たち
左翼パネルの手前では、女性や子どもたちが悲嘆に暮れています。いちばん手前の女性は大きく身をのけぞらせ、幼い子がしがみついています。その上の老婆は、目を大きく見開いてキリストを見つめています。
磔刑を命じる騎馬の司令官
右翼パネルの手前では、白いたてがみの馬にまたがったローマ軍の司令官が、指揮棒を手に磔刑を命じています。奥では、キリストと一緒に処刑される2人の泥棒のうち、1人が十字架にかけられ、もう1人が服を脱がされています。
香辛料商人が取り付けた注文
この祭壇画は、アントウェルペンの聖ヴァルブルガ教会の主祭壇のために描かれました。ルーベンスにこの仕事を回したのは、教会の役員で裕福な香辛料商人だったコルネリス・ファン・デル・ヘーストです。費用の大半も彼が出しました。
中央パネルと左右の翼パネルからなる三連祭壇画で、三面鏡のように開閉できます。中央パネルは縦460cm、翼パネルはそれぞれ縦460cm、横150cmです。翼を閉じると、教会の守護聖人だった聖アマンドゥス、聖ヴァルブルガ、アレクサンドリアの聖カタリナ、聖エリギウスの4人が現れます。
完成当時は、祭壇画の上に父なる神や天使を表した作品が、下に物語の場面を描いた小さな絵が添えられていました。祭壇は階段を上った高い位置にあり、大きなゴシック様式の教会の遠くからでも見える高さでした。
二度持ち去られた祭壇画
この絵はフランス軍に奪われ、『キリスト降架』とともにパリへ運ばれました。ナポレオン戦争が終わった1815年にアントウェルペンへ戻りましたが、聖ヴァルブルガ教会は荒れ果てていたため、聖母大聖堂に置かれることになりました。
1914年には、占領したドイツ軍が昇架と降架の2作をベルリンの王宮へ持ち去りました。1918年11月の休戦のあと、2作は大聖堂に戻されています。
イタリアで学んだものの結晶
男たちが十字架を引き、押し、持ち上げる構成は、ヴェネツィアにあるティントレットの『磔刑』を手本にしています。強い明暗はカラヴァッジョ、キリストの均整のとれた体はミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の裸体像を思わせます。筋肉の盛り上がった男たちのポーズには、ローマで写生した古代彫刻『ニオベの子ら』や『ファルネーゼの雄牛』が生かされています。
中央パネルで十字架を支える鎧の騎士は、ルーベンス自身の自画像かもしれないとされます。ルーベンスはこの絵を仕上げると、ほとんど間を置かずに、いまは同じ聖堂にある『キリスト降架』に取りかかりました。
読んだらクイズ
この拡大は、どの見どころ?

嘆き悲しむ女性たち左翼パネルの手前では、女性や子どもたちが悲嘆に暮れています。いちばん手前の女性は大きく身をのけぞらせ、幼い子がしがみついています。その上の老婆は、目を大きく見開いてキリストを見つめています。
次に見る1枚
よくある疑問
- 『キリスト昇架』はどこにある?
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ベルギーのアントウェルペンにある聖母大聖堂に置かれています。もとは同じ町の聖ヴァルブルガ教会の主祭壇画で、1816年から聖母大聖堂にあります。同じ聖堂には、ルーベンスの『キリスト降架』も収められています。
- キリスト昇架とキリスト降架の違いは?
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『キリスト昇架』は、キリストを釘で打ちつけた十字架を男たちが立ち上げる場面です。『キリスト降架』は、息を引き取ったキリストの遺骸を十字架から降ろす場面です。どちらもルーベンスの三連祭壇画で、昇架を完成させてほとんど間を置かずに降架の制作が始まりました。
- ネロが見たかった絵は?
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ウィーダの児童文学『フランダースの犬』で、少年ネロがずっと見たいと願っていたのは、この『キリスト昇架』と『キリスト降架』です。ネロはついに2枚を目にし、その後まもなく愛犬パトラッシュとともに息を引き取ります。
- 誰が描いた?
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フランドルの画家ピーテル・パウル・ルーベンスが、1610年から1611年にかけて描きました。1600年から1608年までイタリアに滞在したあと、故郷アントウェルペンに戻って最初に手がけた大きな宗教画の注文です。
ピーテル・パウル・ルーベンスのほかの作品
《キリスト降架》 《レウキッポスの娘たちの略奪》 《我が子を食らうサトゥルヌス》
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル




