この作品のデータ
| 作者 | ピーテル・パウル・ルーベンス | 同じ作家の作品 4点 |
|---|---|---|
| 制作年 | 1636〜1638年 | |
| 時代 | バロック・ロココ | 同じ時代の作品 37点 |
| 様式 | バロック | 同じ様式の作品 18点 |
| 種別 | 絵画 | |
| 技法・素材 | 油彩、カンヴァス | |
| 所蔵 | プラド美術館マドリード | 同じ所蔵の作品 11点 |
| 有名度 | ★★★ |
画面のいちばん上に光る3つの星は、ガリレオが望遠鏡で観測した土星の姿です。当時の望遠鏡では土星が3つの星の並びに見えており、ルーベンスはこの最新の知見を絵に取り込みました。その星の下で、年老いた神サトゥルヌスが泣き叫ぶ我が子にかぶりついています。
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見どころ
三連星で描かれた土星
中央の星が土星本体で、両脇の2つはガリレオが土星と並ぶ星だと考えたものです。実際には土星の環でした。それが環だとわかったのは、ルーベンスの死から15年後、1655年のホイヘンスの観測によってです。
のけ反って泣く幼子
サトゥルヌスは左腕に抱えた我が子に、いままさに歯を立てています。幼子は激痛と恐怖でのけ反り、口を開けて泣き叫んでいます。つややかで柔らかい幼子の肌は、老いた神の肌と対比させて描かれています。
大鎌で体を支える老神
サトゥルヌスは雲の上に大きく踏み出して立ち、前かがみの体を右手の大鎌で支えています。肉体には若い頃の壮健さが残る一方、肌はたるんで皺を作っています。ルーベンスは筆の跡をそのまま皺やたるみに見せています。
国王の狩猟館を飾る連作
スペイン国王フェリペ4世は、1636年に改築を終えたエル・パルドの狩猟館トゥーレ・デ・ラ・パラーダの装飾をルーベンスに頼みました。注文は神話画63点と狩猟画50点です。仲介したのは、国王の弟でスペイン領ネーデルラント総督だったフェルナンド枢機卿でした。
この発注は、ルーベンスがそれまでに手がけた『マリー・ド・メディシスの生涯』や、イングランド王チャールズ1世のホワイトホール宮殿の装飾を上回る規模でした。そのうえ納期も短く、制作は枢機卿の監督の下で進みました。連作のうち『ユピテルの雷を鍛えるウルカヌス』や『ガニュメデスの略奪』は、本作とほぼ同じ大きさのカンヴァスに描かれています。
ミケランジェロと銅版画の記憶
サトゥルヌスの姿には、ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂に描いた『最後の審判』の聖バルトロメウスの影響が指摘されています。ルーベンスは1600年から1608年のイタリア滞在中に、古代彫刻やルネサンスの巨匠の作品を模写していました。そのなかにシスティーナ礼拝堂のミケランジェロのモチーフも含まれていました。イタリアで学んだ成果は、20年ほど前の『レウキッポスの娘たちの略奪』にも表れています。
より直接の手本とされるのが、ホルツィウスの銅版画(1587年)です。スプランヘルの原画をもとにした『キューピッドとプシュケの結婚式での神々の宴会』で、画面の右端に、大鎌を持ち雲に座って我が子を食らうサトゥルヌスが描かれています。
丸呑みの神話と、かぶりつく絵
ヘシオドスの『神統記』では、クロノスは子どもを丸ごと呑み込み、のちに吐き出したとされます。ゼウスだけは、祖母ガイアが産着を着せた大岩を身代わりに渡したことで呑まれずに済みました。成長したゼウスは、クロノスらティタン族を倒します。ところがルーベンスの絵のサトゥルヌスは、子を呑み込まず、その体にかぶりついています。
同じ主題は、1819年から1823年にかけてゴヤも描きました。ゴヤの『我が子を食らうサトゥルヌス』と並べると、大鎌の有無や、食べられる子の年格好の違いがわかります。
読んだらクイズ
この拡大は、どの見どころ?

のけ反って泣く幼子サトゥルヌスは左腕に抱えた我が子に、いままさに歯を立てています。幼子は激痛と恐怖でのけ反り、口を開けて泣き叫んでいます。つややかで柔らかい幼子の肌は、老いた神の肌と対比させて描かれています。
次に見る1枚
よくある疑問
- 『我が子を食らうサトゥルヌス』はどこにある?
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マドリードのプラド美術館が所蔵しています。スペイン国王の狩猟館のために描かれ、1638年にほかの作品とともにマドリードへ送られました。同じ主題のゴヤの作品も、同じプラド美術館にあります。
- 誰が描いた?
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フランドルのバロックの巨匠ピーテル・パウル・ルーベンスで、最晩年を代表する作品です。この連作は発注が大量だったため、ルーベンスは下絵を描き、制作の大部分をヨルダーンスら元弟子に任せました。ルーベンス本人が仕上げたのは約15点の重要な作品とみられ、本作はその1点です。
- 何が描かれている?
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ギリシア神話のクロノス(ローマ神話のサトゥルヌス)が、我が子を食らう場面です。自分の子に倒される運命だと知ったクロノスは、妻レアーが子を産むたびに呑み込みました。本作はオウィディウスの『祭暦』にあるサトゥルヌスの物語にもとづいています。
- ゴヤの『我が子を食らうサトゥルヌス』と何が違う?
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ゴヤ作は1819〜1823年に描かれ、本作の影響を受けた可能性が指摘されています。本作ではサトゥルヌスだと示すために大鎌を持たせていますが、ゴヤ作にはそうした持ち物が見当たりません。また本作の犠牲者は幼児ですが、ゴヤ作の犠牲者は幼児には見えません。
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出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル




