この作品のデータ
| 作者 | ジョセフ・ライト | |
|---|---|---|
| 制作年 | 1768年 | |
| 時代 | バロック・ロココ | 同じ時代の作品 37点 |
| 様式 | ロマン主義 | 同じ様式の作品 17点 |
| 種別 | 絵画 | |
| 技法・素材 | 油彩、カンヴァス | |
| 所蔵 | ナショナル・ギャラリーロンドン | 同じ所蔵の作品 15点 |
| 有名度 | ★★★ |
ガラス容器の中で、空気を抜かれたインコがもがいています。鳥が助かるのか死ぬのかは、絵からはわかりません。中央の科学者だけがこちらを見ていて、実験を続けるか止めるかを見る人に問うかのようです。ライトは科学の実験という身近な出来事を、1本のロウソクの光だけで宗教画のように厳かな場面に仕立てました。
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見どころ
もがくインコと科学者
上の大きなガラス容器の中で、インコが羽を広げて倒れかけています。当時インコは珍しく高価な鳥で、本物の実験で命を危険にさらすことはまずなかったとされます。容器のバルブを開けて空気を戻せるのは、左に立つ白髪の科学者だけです。
頭蓋骨の入ったガラス鉢
テーブル中央の丸いガラス容器には、頭蓋骨が沈んでいます。その裏に隠れた1本のロウソクが部屋の唯一の光源で、濁った液体を通った光が周りの顔を照らしています。頭蓋骨とロウソクはどちらも、死を表すヴァニタスの象徴です。
窓辺の少年と満月
右奥の少年は、空の鳥籠を滑車で動かしています。鳥を戻すために下ろしているのか、もう要らないと引き上げているのかは、どちらとも読めるように描かれています。窓の外の満月は、ライトの友人たちが満月の夜に開いていた会合への目配せとされます。
ロウソクの光を描いた連作
ジョセフ・ライトは、イングランドで大きな工場が生まれた土地に近いダービーで生まれ、産業革命を取り上げた最初の画家になりました。肖像画を描いた友人には、工場主や技師、当時「自然哲学者」と呼ばれた初期の科学者たちがいました。
1760年代のライトは、ロウソクの光で照らした夜の場面を何度も描きました。1765年には『ロウソクの明かりで剣闘士を見る3人の人物』を、翌1766年には『太陽系儀の講義』を発表しています。この絵はその連作のなかで最も大きく、最も劇的な一枚です。剣闘士の像や太陽系儀と違い、空気ポンプの実験には暗い部屋で見せる理由がありません。ロウソク1本にしたのは、劇的な効果のためと考えられています。
ロウソクの光だけで照らした真剣な絵として最も近いのは、ラ・トゥールの宗教画です。ただ、ライトがそれを知っていたとは考えられていません。
モデルになった友人たち
画面左端の若い男女だけは、実験を見ずに互いを見つめています。ライトの友人のトーマス・コルトマンとメアリー・バーロウがモデルとされ、2人は翌1769年に結婚しました。ライトが1771年に描いた夫妻の肖像画も、ナショナル・ギャラリーにあります。
時計を持つ男性を医師エラズマス・ダーウィンとする説や、科学者を講演者ジョン・ウォルタイアとする説もあります。ただ、ライト自身は誰をモデルにしたのかを一度も明かしていません。
値引きした売値と版画
この絵は注文を受けずに描かれ、医師ベンジャミン・ベイツが買い取りました。ライトはベイツに130ポンドを求める一方、安値が知られると今後の売れ行きに響くので、領収書には高い額を書くと手紙に書いています。帳簿には、一部の支払いとして30ポンドを受け取ったとだけ残っています。
1768年に芸術家協会の展覧会で発表されると評判を呼び、翌1769年にはヴァレンタイン・グリーンが版画にして出版しました。この版画は18世紀から19世紀にかけて刷り重ねられています。絵のほうは1854年のクリスティーズの競売で売れ残り、9年後にナショナル・ギャラリーへ寄贈されました。
読んだらクイズ
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頭蓋骨の入ったガラス鉢テーブル中央の丸いガラス容器には、頭蓋骨が沈んでいます。その裏に隠れた1本のロウソクが部屋の唯一の光源で、濁った液体を通った光が周りの顔を照らしています。頭蓋骨とロウソクはどちらも、死を表すヴァニタスの象徴です。
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よくある疑問
- 『空気ポンプと鳥の実験』はどこにある?
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ロンドンのナショナル・ギャラリーが所蔵しています。1863年にエドワード・ティレルが寄贈しました。1929年にいったんテート・ギャラリーへ移され、1986年にナショナル・ギャラリーへ戻りました。
- 何の実験が描かれている?
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ガラス容器から空気ポンプで空気を抜き、生き物が空気なしでは生きられないことを見せる実験です。17世紀にロバート・ボイルが行った実験がもとで、18世紀には巡回講演者が裕福な家庭などで見世物として披露していました。生きた動物は残酷すぎるとして、代わりに空気を詰めた小さな袋を使うこともありました。
- 鳥はどうなった?
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わかりません。絵は空気が抜かれた瞬間で止まっていて、助かるか死ぬかは見る人の想像に任されています。初期の油彩スケッチでは鳥が助かることがはっきりしていて、科学者も少女たちをなだめていました。完成作では、あえて結末を伏せています。
- なぜ有名なの?
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科学の実験という同時代の出来事を、それまで歴史画や宗教画にしか使われなかった厳かな描き方で描いたためです。美術史家エリス・ウォーターハウスは、イギリス美術で完全に独創的な傑作のひとつと評しました。
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル




