七つの大罪と四終

ヒエロニムス・ボス《七つの大罪と四終》1505〜1510年頃
七つの大罪と四終The Seven Deadly Sins and the Four Last Things
1505〜1510年頃
油彩、板(ポプラ材)、119.5 × 139.5 cm
プラド美術館(マドリード)

この作品のデータ

作者ヒエロニムス・ボス同じ作家の作品 2点
制作年1505〜1510年頃
時代ルネサンス同じ時代の作品 58点
様式初期フランドル派同じ様式の作品 5点
種別絵画
技法・素材油彩、板(ポプラ材)
所蔵プラド美術館マドリード同じ所蔵の作品 11点
有名度★★★
何がすごいのか

画面中央の大きな円はすべてを見通す神の目を表すとされ、瞳にあたる部分にキリストの姿があります。その真下には「気をつけろ、気をつけろ、主は見ている」というラテン語の銘が記されています。ボスの署名も入っていますが、本人の作かどうかは1898年以来たびたび疑われてきました。

見どころ

瞳の中のキリスト

中心の円では、キリストが「悲しみの人」として石棺から立ち上がり、右手で脇腹の傷を示しています。外へ伸びる金色の光線が、円全体を瞳のように見せています。ボスは同じ図像を『東方三博士の礼拝の三連祭壇画』の外側の面にも描いています。

真下に置かれた憤怒

酒場の外で、酔った男たちが乱闘しています。右の男は外套を脱ぎ捨てて剣を抜き、女に止められています。憤怒は罪の根源と考えられたため、絵を回さずに見られる唯一の位置に置かれました。

左上の円に現れた死

ベッドに横たわる男のもとへ、頭蓋骨の頭をした「死」が部屋の隙間から姿を見せています。ワシントンにあるボスの『守銭奴の死』とよく似た場面です。ただしこちらでは多くの聖職者が臨終に立ち会い、魂をめぐる争いには天使が勝っています。

寓意ではなく暮らしの場面

七つの大罪は、擬人像ではなく当時の人々の暮らしの場面として描かれています。暴食の区画では、太った男が酒を片手に肉を食べながら、次に運ばれてくる料理を目で追っています。男にしがみつく幼い子どもも、すでに太った体つきです。

強欲の区画では、裁判官が一方の訴えを親身に聞くふりをしながら、背後の相手から賄賂を受け取ろうとしています。嫉妬の区画では、鷹を連れた裕福な男を夫婦が窓から見つめ、外では2匹の犬が骨を奪い合っています。この犬は「犬2匹に骨1本では折り合わない」というフランドルのことわざを絵にしたものです。こうした描写は、ボスがブリューゲルより早い風俗画の先駆だったことを示すとされています。

申命記の言葉にはさまれた円

中央の円の上下には帯が描かれ、旧約聖書の「申命記」32章がラテン語で記されています。上の帯は28〜29節で、思慮を欠いた民が自分たちの終わりをわきまえない様子を嘆く言葉です。下の帯は20節で、神が人々から顔を隠し、その最後を見届けると告げています。

キリストの下の「主は見ている」の銘とあわせて、3つの文言は神の道を外れれば地獄が待っていると警告しています。同じメッセージは、ボスの『快楽の園』や『乾草車の三連祭壇画』にも共通しています。

王が愛した絵と帰属の疑い

発注者や制作の経緯はわかっていません。スペイン王フェリペ2世は1560年以前に本作を手に入れ、ボスの真作と信じて寝室に飾っていました。エル・エスコリアル修道院に送ったときも、ボスの作品として目録に記しています。

疑いのきっかけは、1560年頃に人文主義者フェリペ・デ・ゲバラが書いた一節です。ゲバラは師の名で署名するほど腕の立つ無名の弟子に触れ、改行せずに本作へ言及しました。さらに、ボスの真筆とされる作品はすべてオーク材なのに、本作はポプラ材に描かれています。一方で、下描きや筆遣いはボスの後期作品と一致するという研究もあります。

読んだらクイズ

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よくある疑問

『七つの大罪と四終』はどこにある?

スペイン・マドリードのプラド美術館にあります。1574年にフェリペ2世がエル・エスコリアル修道院へ送り、1936年まで修道院で保管されていました。1936年にプラド美術館へ貸与され、1943年の政令で永久貸与になりました。密閉されたケースに収めて展示されています。

読み方は?「四終」とは?

「ななつのたいざいとししゅう」と読みます。四終は、死・最後の審判・天国・地獄の4つです。画面の四隅にある小さな円に、死が左上、最後の審判が右上、天国が右下、地獄が左下という配置で描かれています。

七つの大罪はどう描かれている?

中央のキリストを囲む7つの区画に、憤怒・傲慢・色欲・怠惰・暴食・強欲・嫉妬が1つずつ描かれています。各区画にはラテン語の罪の名が添えられています。たとえば傲慢は、物陰の悪魔が持つ鏡に向かって身なりを整える女性の後ろ姿で表されています。

本当にボスが描いた?

結論は出ていません。2015年10月、ボス研究保存プロジェクトはボスへの帰属を否定し、追随者の作と判断しました。これに対し、所蔵するプラド美術館はボスの作品であるとの見解を示しています。工房や追随者の作とみる傾向は強まっており、追随者説では制作年を1500〜1525年頃としています。

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《快楽の園》

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