
長年、描かれているのはジョヴァンニ・アルノルフィーニとその妻ジョヴァンナ・チェナーミだとされてきました。しかし1997年、二人の結婚は絵の日付の13年後、しかも画家の死後だったことが判明しました。現在は従兄弟夫妻の絵とされ、妻はすでに死去していた最初の妻という説もあります。
見どころ
壁の凸面鏡と署名
凸面鏡には戸口に立つ二人の男性が映り込んでいます。手前の赤い服の男性はファン・エイク自身だと考えられています。鏡の真上には「ヤン・ファン・エイクここにありき。1434年」という署名があります。
重ねられた夫妻の手
男性が女性の右手を左手で軽く握るこのポーズは、作品の主題そのものだという指摘もあります。婚姻の宣誓とする説、夫が妻に商取引の代理権を与える場面とする説など、解釈が分かれています。
足もとの小型犬
夫妻の足もとに描かれた小型犬は、現在のブリュッセル・グリフォンの祖先とされています。忠誠、あるいは夫婦が子を望んでいることを表す象徴とも解釈されています。
史上最初の室内画
美術史家クレイグ・ハービソンは、この絵を「15世紀にファン・エイクが描いた、現存する唯一の当時の一般家庭の室内を表した絵画」だとしています。描かれた部屋は寝室ではなく客間で、当時の習慣ではベッドは普段椅子として使われていました。窓の外の桜が実をつけていることから、季節は夏と考えられています。
油彩技法という革新
ファン・エイクは、乾燥の遅い油彩の性質を利用し、まだ濡れている絵具の上から新たな絵具を重ねる技法を用いました。この技法によって微妙な陰影を作り出し、三次元的な形状を絵画に表現することに成功しています。半透明で艶のある薄い顔料を幾層にも塗り重ねる手法は、生き生きとした色調をこの作品に与えました。
王家を渡り歩いた来歴
この絵は16世紀にネーデルラント総督マルグリット・ドートリッシュが所有し、その後スペイン王フェリペ2世の手に渡りました。1813年のビトリアの戦いでイギリス軍がスペイン王室のコレクションを略奪した際にこの絵も持ち去られ、1842年にナショナル・ギャラリーが購入しました。
よくある疑問
- 『アルノルフィーニ夫妻像』はどこにある?
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ロンドンのナショナル・ギャラリーが所蔵しています。1842年に600ポンドで購入し、それ以来同館の所蔵品です。
- モデルは誰?
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長年、ジョヴァンニ・ディ・アリーゴ・アルノルフィーニとその妻ジョヴァンナ・チェナーミとされてきました。しかし1997年、二人の結婚が絵の日付の13年後、画家の死後であることが判明しました。現在は、その従兄弟にあたるジョヴァンニ・ディ・ニコラ・アルノルフィーニ夫妻を描いたと考えられています。
- 女性は妊娠しているの?
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一見妊娠しているように見えますが、これは誤った解釈とされています。当時の女性の間で流行していた着こなしで、聖人を描いた絵にもよく見られる装束です。ただし、夫妻が子を望んでいることを表しているという解釈はあります。
- 何が描かれている場面?
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イタリア人商人ジョヴァンニ・ディ・ニコラ・アルノルフィーニとその妻を、ブルッヘの自宅を背景に描いた場面です。婚姻契約を記録するために描かれたという説もありますが、単なる結婚記念の肖像画だとする研究者も多く、定説はありません。
基本データ
- 作者
- ヤン・ファン・エイクJan van Eyck
- 制作年
- 1434年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、板
- 様式
- 初期フランドル派
- 所蔵
- ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
- 展示室
- ルネサンス
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出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル