ナルキッソス (カラヴァッジョ)

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ《ナルキッソス (カラヴァッジョ)》1597〜1599年頃
ナルキッソス (カラヴァッジョ)Narcissuss
1597〜1599年頃
油彩、カンヴァス、110 × 92 cm
国立古典絵画館(ローマ)
何がすごいのか

この絵は長い間カラヴァッジョの真筆かどうか疑われていました。1916年、美術史家ロベルト・ロンギが最初にカラヴァッジョ作と判断し、現在ではほぼ確実な真筆とされています。神話の場面なのに小道具は一切なく、水面をのぞき込む若者だけが描かれています。

見どころ

水面を見つめる横顔

自身の姿に恋をした美青年ナルキッソスが、屈み込んで泉をのぞき込む瞬間を描いています。スイセンの花もニンフのエコーの姿もない、簡潔な構図です。

水際に置かれた両手

錦織のプールポワンを着た若者は両手を水際に置き、自分の映像を見つめ続けます。装飾的な小道具を排したことで、視線は手と顔に集中します。

上下対称の鏡像

画面はトランプの絵柄のような上下対称の構図です。古来死と結びつけられてきた鏡のモチーフが、絵全体に憂鬱な雰囲気を与えています。

芸術家を魅了した神話

ナルキッソスの物語は、ダンテの『神曲』やペトラルカの『歌曲集』など文学作品でたびたび言及されてきました。カラヴァッジョが交流していたデル・モンテ枢機卿や銀行家ヴィンチェンツォ・ジュスティニアーニらの収集家サークルでもよく知られた主題でした。理論家レオン・バッティスタ・アルベルティは、水面に映った自分の姿を捉えようとしたナルキッソスこそ絵画の発明者だと述べています。

死を映す鏡

オウィディウスの『変身物語』によれば、ナルキッソスは自身の映像から離れられず、恋愛感情のために死に、冥府へ渡るときも自分の姿を見続けたとされています。16世紀の文学批評家トンマーゾ・スティリアーニは、この神話が「自身のものを過剰に愛する人々の不幸な結末」を示すものだと説明しました。

よくある疑問

『ナルキッソス』はどこにある?

バルベリーニ宮国立古典絵画館(ローマ)が所蔵しています。

本当にカラヴァッジョの作品?

一時期真筆性が疑われていましたが、1916年に美術史家ロベルト・ロンギがカラヴァッジョに帰属させて以来、現在では概ね真筆とされています。

どんな神話が描かれている?

自身の姿に恋をした美青年ナルキッソスが、泉をのぞき込んだまま食事も睡眠もとらずに衰弱死し、スイセンの花に姿を変えたという物語です。

なぜ小道具が何もない?

15世紀末以降の絵画伝統では、ナルキッソスとともにスイセンの花やニンフのエコーが描かれることが多いのですが、カラヴァッジョはそれらを排し、若者の姿だけを描いています。

基本データ

制作年
1597〜1599年頃
種別
絵画
技法・素材
油彩、カンヴァス
寸法
110 × 92 cm
所蔵
国立古典絵画館(ローマ)

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオのほかの作品

《バッカス》 《果物籠を持つ少年》 《メドゥーサの首 (カラヴァッジョ)》 《聖マタイの召命》

出典・画像について

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