農民の婚宴

ピーテル・ブリューゲル《農民の婚宴》1568年頃
ピーテル・ブリューゲルPieter Brueghel the Elder
農民の婚宴The Peasant Wedding
1568年頃
油彩、板、114 × 164 cm
美術史美術館(ウィーン)
何がすごいのか

婚宴の絵なのに、ブリューゲルは花婿と花嫁をはっきり描いていません。手がかりは当時の風習で、被り物をしていない正面の女性が花嫁とされています。画面右端で黒服を着て座る男は、村の領主とも、変装したブリューゲル自身ともいわれています

見どころ

被り物をしない花嫁

正面で長い髪をおろした女性が花嫁とされています。当時の風習で花嫁だけは被り物をしなかったためです。テーブルの右手前で客に給仕をしている男性は花婿と考えられていますが、はっきりと描き分けられてはいません。

運ばれるブライ

画面手前で2人の農民が戸板に乗せて運んでいるのは、ブライと呼ばれるフランドル地方特有のプディングです。婚宴のごちそうとして客に配られます。

右端で黒服を着た男

画面右端には、黒色の服を身に着けて座っている男性が描かれています。村の領主だという説と、扮装して婚宴にやってきたブリューゲル自身だという説の両方があります。

農民画の先駆け

ブリューゲルは本作を最晩年に手がけました。フランドル絵画の特徴の1つである、農民を描いた風俗画の先駆けとされる作品です。ブリュッセルに移り住んだ後、『穀物の収穫』など農村の風景を多く描いています。

16世紀にはキャンバスも存在しましたが、ブリューゲルは支持体にネーデルランド産の良質なオーク材の板を選びました。絵筆を念入りに運び、絵具を薄く塗り重ねて仕上げています。

誰が主役かわからない構図

ブリューゲルは初期には、高い視点から人物群を描く構成の作品を発表していました。円熟期には『雪中の狩人』や『牛群の帰り』のように、前景に高地、中景に低地を配置する対角線の構図をもつ作品を手がけています。本作でも対角線の構図を採用し、当時は稀であった室内の婚宴を臨場感たっぷりに描き出しています。

婚宴の主役は花婿と花嫁のはずですが、ブリューゲルはその主役をはっきりとは描いていません。同じ画家による『農民の婚礼の踊り』でも、踊っている人物の誰が主役なのかがはっきりわからないという特徴があります。遠景に向かうほど人物を小さく描いて空間を表現するのは、ブリューゲルの風景画に共通する手法です。

よくある疑問

『農民の婚宴』はどこにある?

ウィーンの美術史美術館の所蔵です。板に油彩で描かれ、ブリューゲルが最晩年に手がけた代表作の1つとされています。

花嫁はどこにいる?

画面正面で長い髪をおろした女性が花嫁とされます。当時の風習で花嫁だけが被り物をしなかったことが根拠です。テーブル右手前で給仕をしている男性が花婿と考えられていますが、ブリューゲルは主役をあえて目立たせて描いていません。

黒い服の男性は誰?

画面右端に座る黒服の男性については、村の領主だという説と、扮装して農村の婚宴にやってきたブリューゲル自身だという説の両方があります。どちらが正しいかは断定されていません。

何を運んでいる?

画面手前で2人の農民が戸板に乗せて運んでいるのは、ブライと呼ばれるフランドル地方特有のプディングです。当時は稀だった室内の婚宴の様子を、臨場感たっぷりに描き出しています。

基本データ

作者
ピーテル・ブリューゲルPieter Brueghel the Elder
制作年
1568年頃
種別
絵画
技法・素材
油彩、板
寸法
114 × 164 cm
様式
北方ルネサンス
所蔵
美術史美術館(ウィーン)

ピーテル・ブリューゲルのほかの作品

《バベルの塔》 《雪中の狩人》

出典・画像について

画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル

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