
ブリューゲルは『バベルの塔』を3点描きましたが、1点は現存しません。ローマ滞在で見たコロッセオをわざと連想させる姿に塔を描き、傾斜地に垂直にアーチを積んだせいで、完成前からすでに崩れかかっている部分もあります。
見どころ
ニムロド王の行進
画面左下の手前には、塔の建設を命じたとされるニムロド王と考えられる人物を中心とした一団が描かれています。『創世記』ではニムロドが命じたとは明言されていませんが、伝統的にこう解釈されています。
未完のまま続く高層部
塔の基部と下層はほぼ完成していますが、上層は建築途中のまま描かれています。傾斜地に垂直にアーチを積んだせいで構成が不安定に見え、すでに崩れかかっているアーチもあります。
働き続ける石工たち
塔の各所には忙しく働く技術者や石工、職人たちが小さく描き込まれています。人間がどれだけ努力しても最終的には無益に帰してしまうという教訓が込められているとされます。
同じ言語を話す人々の野望
『創世記』には、同じ言語を話す人々が自分たちの名声を高め、他の地に散らばるのを防ぐために町と塔を築こうとしたことが記されています。頂を天に届かせようとしたこの試みが、のちに人々の言語がばらばらになる原因になったという物語です。ブリューゲルが『旧約聖書』を題材に描いたのは『バベルの塔』と『サウルの自害』のみで、どちらも増長した者が罰を受ける物語として解釈されています。
ローマ滞在が生んだ塔
ブリューゲルは1552年から1553年にかけてローマに滞在しました。アントウェルペンに戻ったのち、版画業者ヒエロニムス・コックと共同で、ローマで見た史跡の版画を制作しています。『バベルの塔』にはこれらの版画の詳細描写が活かされており、ブリューゲルの建築に関する知見の広さがうかがえます。
大衆文化に転用された姿
『バベルの塔』はゲーム作品にもたびたび引用されています。シミュレーションゲーム『シヴィライゼーションIII』のパッケージの一部に使われたほか、『コール オブ デューティ ブラックオプス2』のゾンビモードのマップの壁にも描かれています。
よくある疑問
- 『バベルの塔』はどこにある?
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ウィーンの美術史美術館が、サイズの大きい方の『バベルの塔』(大バベル)を所蔵しています。サイズの小さい方(小バベル)はロッテルダムのボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館にあります。
- なぜコロッセオに似ているの?
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ブリューゲルが意図的にコロッセオに似せて描いたためです。コロッセオはキリスト教徒にとって尊大さと迫害の象徴であり、ローマ滞在時に見た史跡の版画の詳細描写が塔にも活かされています。
- 「小さいバベルの塔」と何が違う?
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小バベルは大バベルのおよそ半分の大きさです。構成は酷似していますが、塔や上空、周囲の背景の描写に差異があります。大バベルの塔は大都市に面していますが、小バベルは開けた田園風景に囲まれています。
- 誰が塔を建てたことになっている?
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『創世記』では、同じ言語を話す人々が名を上げ、他の地へ散らばるのを避けるために塔の建設を始めたと記されています。伝統的にニムロド王が建設を命じたとされていますが、聖書本文にその記述はありません。
基本データ
- 作者
- ピーテル・ブリューゲルPieter Brueghel the Elder
- 制作年
- 1563年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、板
- 所蔵
- 美術史美術館(ウィーン)
- 展示室
- ルネサンス
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出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル