
盾に描かれたメドゥーサの顔は、カラヴァッジョ自身の自画像だと伝えられています。枢機卿デル・モンテが、武具コレクションを持つトスカーナ大公への贈り物として依頼した1枚で、現存する盾は2種類あります。切られた首から血が噴き出す描写は、当時としては非常に珍しいものでした。
見どころ
自画像とされる形相
苦悶に顔を歪め、目を見開くメドゥーサの顔は、カラヴァッジョ自身の自画像だと17世紀の史料に記されています。署名はどこにもありません。
とぐろを巻く9匹の蛇
頭髪として描かれた9匹の蛇が複雑に絡み合っています。緑の背景から浮かび上がるように、光は画面左上から差し込んでいます。
首から噴き出す鮮血
切断された首から血が噴き出す描写は非常に珍しく、通常はペルセウスの退治場面を描いた作品に限られます。流血をともなうメドゥーサ像は本作の後、ルーベンスにも描かれました。
武具コレクションへの贈り物
本作を依頼したのは、フェルディナンド1世・デ・メディチに仕えていたフランチェスコ・マリア・デル・モンテ枢機卿です。大公は1588年以降、剣や甲冑、盾などで構成された武具コレクションを蒐集し、ウフィツィ宮殿の3つの部屋に展示していました。枢機卿は絵画が描かれた盾を贈ることで、そのコレクション形成に貢献しようとしたと考えられています。
盾の支持体はポプラ材の板で、前面は凸状に丸みを帯びています。この面に1枚のキャンバスが張られ、メドゥーサの頭部が描かれました。かつては16世紀の馬上槍試合用の盾を塗り直したものと信じられていましたが、X線調査により全体がカラヴァッジョの手によるものだと判明しています。
魔除けか、絵画の勝利か
メドゥーサの首の図像は古代から魔除けとして甲冑や宝飾品の装飾に使われてきました。本作もその伝統と関係すると考えられていますが、影の描き方や流血の表現は当時としては非常に珍しいものです。研究者の間では、単なる魔除けではなく、彫刻に対する絵画の優位性を示す狙いがあったとする解釈も出されています。
よくある疑問
- 『メドゥーサの首』はどこにある?
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ウフィツィ美術館(フィレンツェ)が所蔵する第2バージョンが一般によく知られています。カラヴァッジョの署名入りでやや小型の第1バージョンは、個人コレクションが所蔵しています。
- なぜ盾の形をしている?
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フェルディナンド1世・デ・メディチが蒐集していた武具コレクションに加える贈り物として、枢機卿デル・モンテが依頼したためです。ポプラ材の板にキャンバスを張り、前面が凸状になった円形盾の形を取っています。
- 誰が描かれている?
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ギリシア神話の怪物メドゥーサです。女神アテナの怒りを買って髪を蛇に変えられ、英雄ペルセウスに退治されました。
- 顔はカラヴァッジョの自画像って本当?
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17世紀の史料はメドゥーサの顔をカラヴァッジョの自画像だと記していますが、作品自体に署名はなく、確定的な証拠があるわけではありません。
基本データ
- 作者
- ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオCaravaggio
- 制作年
- 1597〜1598年頃
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、キャンバスを貼った板
- 寸法
- 60 × 55 cm
- 所蔵
- ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
- 展示室
- ルネサンス
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオのほかの作品
《バッカス》 《果物籠を持つ少年》 《ナルキッソス (カラヴァッジョ)》 《聖マタイの召命》
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル