
果物籠には病気の葉やひび割れたイチジクまで正確に描き込まれています。理想化を拒み、見たものをそのまま写した結果です。2012年の調査で、実物を見ながらキャンバスに直接下描きしていたことが判明しました。ローマ到着直後のカラヴァッジョは、この絵で古代の伝説的画家ゼウクシスを意識していたのかもしれません。
見どころ
気だるげな視線
少年は肩をはだけ、薄く口を開け、首をかしげたトロンとした目で鑑賞者を見ています。風俗画にも肖像画にも見える曖昧な描き方です。
肩と衣服の襞
肩を出した衣服の襞まで丁寧に描き込まれ、カラヴァッジョが人物と静物を同じ集中力で描いたことがうかがえます。
写実を極めた果物籠
籠には桃、ブドウ、裂けたザクロ、イチジク、リンゴなど多種の果物が写実的に描かれています。傷んだ葉や虫食いの跡まで忠実に再現されています。
ダルピーノの工房で
1595年ごろ、カラヴァッジョは画家ジュゼッペ・チェーザリ(カヴァリエール・ダルピーノ)の工房で働いており、「花と静物を描く」仕事を任されていました。1607年、ダルピーノは銃器の不法所持を理由に作品をすべて教皇パウルス5世に押収され、それらは教皇の甥シピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿に与えられます。本作もこのとき押収された作品に含まれていました。
現代のゼウクシスとして
古代ローマの著述家ウィトルウィウスは、客への贈り物を描いた静物画を「クセニア」と呼びました。また画家ゼウクシスがブドウを描いたところ、鳥がついばみに来たという逸話が、ルネサンス期の美術文献でよく紹介されています。本作は、カラヴァッジョが自らを現代のゼウクシスになぞらえて描いた可能性があります。
頂点に達した果物の写実
2012年の分析では、下描きが実物を見ながらキャンバス上に直接描かれていたことも確認されています。この写実への集中は、1597年から1600年ごろの『果物籠』(アンブロジアーナ絵画館、ミラノ)で頂点に達します。
よくある疑問
- 『果物籠を持つ少年』はどこにある?
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イタリア・ローマのボルゲーゼ美術館に所蔵されています。もとはシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿のコレクションに由来し、1902年にイタリア政府が購入しました。
- モデルは誰?
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カラヴァッジョの友人でシチリア出身の画家マリオ・ミンニーティだとされています。当時16歳ほどでした。
- 何を象徴している?
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聖愛や俗愛、四季の秋、五感の味覚、ヴァニタスなど様々な解釈が提案されていますが、特に定まった意味はないとする見方もあります。
- 本当にカラヴァッジョ1人で描いた?
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かつては工房の別の画家が少年部分を描いたのではという説もありましたが、この点を疑う研究者はほとんどいません。
基本データ
- 作者
- ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオCaravaggio
- 制作年
- 1595年頃
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 70 × 67 cm
- 様式
- バロック絵画
- 所蔵
- ボルゲーゼ美術館(ローマ)
- 展示室
- ルネサンス
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオのほかの作品
《バッカス》 《ナルキッソス (カラヴァッジョ)》 《メドゥーサの首 (カラヴァッジョ)》 《聖マタイの召命》
出典・画像について
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