快楽の園

ヒエロニムス・ボス《快楽の園》1503〜1504年頃(諸説あり)
快楽の園The Garden of Earthly Delights
1503〜1504年頃(諸説あり)
油彩、板、220 × 389 cm
プラド美術館(マドリード)
何がすごいのか

三連祭壇画の両翼を閉じると、天地創造3日目の地球だけが描かれています。開くと一転、裸体の人物や空想上の生物が渦巻く幻想世界が現れます。制作年代は長く議論されてきましたが、板は年輪年代測定で1460〜1466年伐採のオーク材と判明し、パイナップルが描かれていることから新大陸発見後の作ともいわれます。

見どころ

エデンの園のアダムとイヴ

左翼には、キリストの姿をした神がアダムにイヴをめあわせる場面が描かれています。周囲は多くの動植物で彩られ穏やかな雰囲気ですが、右後方ではライオンが獲物を襲う様子も見えます。

巨大な貝と裸体の群像

中央パネルでは、裸体の男女が数人ずつまとまって群れています。男が担ぐ巨大なムール貝からは男女の脚が突き出ており、明らかな性的な象徴とされています。

楽器で責め苦を与える地獄

右翼は、人間が悪魔の群れに責め苦を受ける地獄の場面です。ハープや手回し琴など楽器が拷問の道具として使われることから「音楽地獄」とも呼ばれます。

ナッサウ伯邸を飾った祭壇画

この絵が最初に文献に現れるのは1517年、ボスの没年翌年です。イタリア人聖職者アントーニオ・デ・ベアティスの記録によれば、ブリュッセルのナッサウ伯爵邸を飾っていました。依頼主はナッサウ=ヴィアンデン伯エンゲルベルト2世、またはその後継者だった可能性があります。

アルバ公による没収

邸宅を相続した沈黙公ウィレム1世は、のちにスペインへ反旗を翻すオランダ革命を主導した人物です。1568年、アルバ公フェルナンドがこの絵をウィレム1世から没収してスペインへ持ち去り、1591年にスペイン王フェリペ2世が競売で買い取りました。1593年にエル・エスコリアル修道院へ奉納されています。

シュルレアリスムへの影響

後世の画家たちはこの絵から多くを学んでいます。ピーテル・ブリューゲルは右翼の地獄の描写を自作に取り入れ、20世紀にはジョアン・ミロやサルバドール・ダリが強い共感を示しました。二人が最初にボスの絵に触れたのは、プラド美術館所蔵のこの作品でした。

よくある疑問

『快楽の園』はどこにある?

スペイン・マドリードのプラド美術館が所蔵しています。1939年にエル・エスコリアル修道院から他のボスの作品とともに移されました。

何が描かれている?

三連祭壇画で、左翼にエデンの園でアダムとイヴが結ばれる場面、中央パネルに裸体の人物や空想上の生物が入り乱れる情景、右翼に地獄で責め苦を受ける罪人が描かれています。両翼を閉じると、天地創造3日目の地球のグリザイユが現れます。

中央パネルはどういう意味?

美術史家や評論家は誘惑の危険への警告と解釈することが多く、七つの大罪のうち色欲の描写とみる見方が有力です。ただし決定的な合意はなく、現世の快楽の象徴、あるいは失楽園の描写だとする説もあります。

いつ描かれた?

正確な制作年は分かっていません。板の年輪年代測定で1460年から1466年に伐採されたオーク材と判明しており、パイナップルが描かれていることから1492年のコロンブスによるアメリカ大陸発見以降の作という見方が有力ですが、もっと早い時期の制作を主張する研究者もいます。

基本データ

作者
ヒエロニムス・ボスHieronymus Bosch
制作年
1503〜1504年頃(諸説あり)
種別
絵画
技法・素材
油彩、板
寸法
220 × 389 cm
様式
初期フランドル派
所蔵
プラド美術館(マドリード)

出典・画像について

画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル

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