
この作品のデータ
| 作者 | ティツィアーノ・ヴェチェッリオ | 同じ作家の作品 4点 |
|---|---|---|
| 制作年 | 1509年頃 | |
| 時代 | ルネサンス | 同じ時代の作品 58点 |
| 様式 | 盛期ルネサンス | 同じ様式の作品 22点 |
| 種別 | 絵画 | |
| 技法・素材 | 油彩、カンヴァス | |
| 所蔵 | ルーヴル美術館パリ | 同じ所蔵の作品 26点 |
| 有名度 | ★★★ |
草原で楽器を奏でる2人の若い男のそばに、裸の女性が2人います。彼女たちは男たちの幻想が生んだ理想美の化身とも、男たちには見えないニンフともいわれます。長くジョルジョーネの作とされてきましたが、20世紀以降はティツィアーノの初期作とする説が主流です。マネはこの絵から『草上の昼食』の着想を得ました。
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見どころ
水を注ぐ女性
画面左の女性は、ガラスの水差しから井戸のような石の縁へ水を注いでいます。詩歌の寓意として読む説では、悲劇的な詩歌の女神とされます。彼女が何をしているのかは、この絵の中でも特に解釈の定まらない部分です。
身なりの違う2人の男
リュートを弾く男は赤い貴族的な衣装を着て、隣の男は質素な服を着ています。この対比から、前者を高貴な抒情詩、後者を世俗の抒情詩の象徴とみる説があります。どちらも16世紀ヴェネツィアの同時代の服装です。
右奥の羊飼い
右奥の木立のそばには、羊の群れを見張る羊飼いが小さく描かれています。バグパイプを持つ姿から、ウェルギリウス『牧歌』の歌比べの場面を踏まえたとする見方があります。
ジョルジョーネ説が長く続いた理由
ルーヴルの収蔵品データベースによると、1683年の目録でも、この絵はジョルジョーネの名で記されています。ジョルジョーネ説の根拠のひとつは、ヴァザーリの『画家・彫刻家・建築家列伝』にある「リュートを弾き、恋の喜びを楽しんだ音楽家」という一節です。名指しはされていませんが、この絵の情景とよく合うため、ジョルジョーネを指すと読まれてきました。男たちがはく色つきの靴下も、ジョルジョーネの『テンペスタ』と共通する、ヴェネツィアの若い貴族の結社の印とされます。
一方で、ジョルジョーネの死後に弟子のティツィアーノが仕上げたとみる研究者もいます。この説では、リュートを弾く男が若いジョルジョーネ、教わる質素な男が若いティツィアーノを表すとされます。美術史家チャールズ・ホープは、2人の後に続いた画家ドメニコ・マンチーニの作とする説を唱えました。ただしホープ自身、この絵は洗浄されていないので、修復を経なければ判断できないと述べています。
王から王へ渡った来歴
この絵はマントヴァのゴンザーガ家が所有していたもので、おそらくイザベラ・デステの遺産だったと考えられています。のちにイングランド王チャールズ1世が買い取りました。1649年に王が処刑されると、王室コレクションは売りに出されます。この絵もドイツ人の銀行家で収集家のエバーハルト・ヤーバッハの手に渡りました。
ヤーバッハは1671年にルイ14世へ売却し、以後はフランス王室コレクションに入りました。なお、ルーヴルの収蔵品データベースは、ヤーバッハより前にアランデル伯の手元にあった可能性を示しています。ヤーバッハ以前の経路は、資料によって説明が異なります。
マネが見たルーヴルの一枚
エドゥアール・マネは、ルーヴル美術館でこの絵を見ています。そこから着想を得て、1863年に『草上の昼食』を描きました。ドラクロワも1824年にルーヴルでこの絵を模写したと伝えられますが、その模写は失われています。
詩人ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティは、この絵を題材にソネットを書きました。題は「ルーヴルにあるジョルジョーネのヴェネツィアの牧歌」で、1870年の詩集に収められています。若者たちが草の上に集う「田園の宴」という絵画の型は、この絵を起点とする見方があります。
読んだらクイズ
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身なりの違う2人の男リュートを弾く男は赤い貴族的な衣装を着て、隣の男は質素な服を着ています。この対比から、前者を高貴な抒情詩、後者を世俗の抒情詩の象徴とみる説があります。どちらも16世紀ヴェネツィアの同時代の服装です。
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よくある疑問
- 『田園の奏楽』はどこにある?
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パリのルーヴル美術館が所蔵しています(目録番号 INV 71)。1671年にルイ14世が購入したフランス王室コレクションの作品で、フランス革命期の1792年以降にルーヴルへ移されました。展示室は変わることがあるため、見に行く前にルーヴルの公式サイトで確認すると確実です。
- 誰が描いた?
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20世紀までジョルジョーネの作とされていましたが、現代の研究ではティツィアーノの初期作とする説が主流です。人物のたくましい肉付きがティツィアーノらしいと考えられているためです。ジョルジョーネが描き始め、その死後にティツィアーノが仕上げたとする説もあります。作者を示す同時代の記録は見つかっていません。
- 何が描かれている?
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草原に座って楽器を奏でる3人の若い男女と、少し離れて水差しから水を注ぐ女性です。主題は詩歌の寓意と考えられています。4人を水・火・土・風の四元素の象徴とみて、世界の調和を描いたとする説もあります。
- 『田園の合奏』や『詩的な世界』と同じ作品?
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同じ作品です。日本では『田園の合奏』とも呼ばれ、ルーヴル美術館の日本語サイトでは『詩的な世界』という題で紹介されています。フランス語の題は Le Concert champêtre です。
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ティツィアーノ・ヴェチェッリオのほかの作品
《聖母被昇天 (ティツィアーノ)》 《ウルビーノのヴィーナス》 《フランソワ1世の肖像》
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル



