
この作品のデータ
| 作者 | アンドレア・デル・ヴェロッキオ | |
|---|---|---|
| 制作年 | 1472〜1475年頃 | |
| 時代 | ルネサンス | 同じ時代の作品 58点 |
| 様式 | — | |
| 種別 | 絵画 | |
| 技法・素材 | テンペラ・油彩、板 | |
| 所蔵 | ウフィツィ美術館フィレンツェ | 同じ所蔵の作品 7点 |
| 有名度 | ★★★ |
弟子のレオナルドが描いた左端の天使を見て、師ヴェロッキオは二度と絵を描かなかったといいます。ヴェロッキオの『キリストの洗礼』は、ヴァザーリが伝えたこの逸話で知られる祭壇画です。実際には少なくとも3人の手が入った工房の合作で、ヴェロッキオは絵を弟子に任せて本業の彫刻に専念したというのが実情です。
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見どころ
レオナルドが描いた天使
左端で横顔を見せ、キリストを見上げている天使が、若いレオナルドの担当とされる部分です。隣の天使については、レオナルドの天使と画面の釣り合いをとるために、ヴェロッキオが後から描き足したとする説があります。
川の奥に続く風景
天使たちの頭上から奥へ、川と岩山が遠くまで続いています。現代の研究者は、この風景の多くもレオナルドが描いたとみています。天使と同じくここだけが油彩で、ほかの部分はテンペラで描かれていることが根拠の一つです。
天から差し出された手と鳩
画面の最上部では、開いた天から神の両手が差し出され、その下で聖霊を表す鳩が光の筋を放っています。ウフィツィ美術館の解説によると、この手と鳩は仕上がりがやや粗く、年長の別の画家が描いた可能性があります。
サン・サルヴィ修道院の祭壇画
この絵は、フィレンツェのサン・サルヴィ修道院のために描かれました。1515年の記録によると、依頼したのはヴェロッキオの兄弟で、修道院の長だったドン・シモーネです。近年の技術調査では、ヴェロッキオが1468年頃に描き始め、数年置いたのちに、1470年代にレオナルドが画面の一部を描き直したとみられています。
ヴェロッキオは彫刻家・金細工師・画家を兼ね、フィレンツェで大きな工房を営んでいました。弟子や協力者には、ボッティチェリ、ペルジーノ、ロレンツォ・ディ・クレディ、そしてレオナルドがいます。同じ頃の工房からは、師弟の共作とされる『受胎告知』も生まれました。
絵は1730年にサンタ・ヴェルディアーナ修道院へ移り、1810年にフィレンツェの美術館の収蔵品となったのち、ウフィツィ美術館に移されました。ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』は、本作の形式にならって描かれたとされています。
工房で分担した1枚の絵
全体の構図と主な人物の素描を決めたのは、ヴェロッキオです。キリストとヨハネの姿は、ヴェロッキオの代表作である彫刻『聖トマスの懐疑』と共通しています。一方で、人物の衣のひだや中景の岩壁には硬さが目立ち、ヴェロッキオとレオナルド以外の手が入っているのは確実とされています。
キリストやヨハネにボッティチェリやロレンツォ・ディ・クレディの手を見る研究者もいます。中央の風景には、助手のフランチェスコ・ボッティチーニも加わりました。制作の順序も推定されています。凡庸な弟子が進めていた画面を腕のよい弟子が引き継ぎ、最後にレオナルドが仕上げたという流れです。
こうした成り立ちのため、画面全体の統一感には欠けますが、ヴェロッキオの力量はよく表れています。
筆を折った話の真偽
師が筆を折ったという話は、ヴァザーリの『画家・彫刻家・建築家列伝』が出どころです。ヴァザーリはヴェロッキオとレオナルドの両方の伝記でこの絵に触れています。ただしレオナルドとは面識がなく、真偽はわかっていません。
それでも、ヴェロッキオの絵画制作はこの頃に途絶えたように見えます。知られている最後の絵画は『聖母子と2人の天使』で、完成は弟子のロレンツォ・ディ・クレディに任されました。ヴェロッキオは筆を折ったのではなく、工房の絵画をほとんど弟子に任せるようになったと考えられています。
読んだらクイズ
この拡大は、どの見どころ?

川の奥に続く風景天使たちの頭上から奥へ、川と岩山が遠くまで続いています。現代の研究者は、この風景の多くもレオナルドが描いたとみています。天使と同じくここだけが油彩で、ほかの部分はテンペラで描かれていることが根拠の一つです。
次に見る1枚
よくある疑問
- 『キリストの洗礼』(ヴェロッキオ)はどこにある?
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イタリア・フィレンツェのウフィツィ美術館が所蔵しています。もとはフィレンツェのサン・サルヴィ修道院にあった祭壇画で、1810年にフィレンツェの美術館の収蔵品になりました。ウフィツィ美術館は、本作をレオナルド・ダ・ヴィンチの展示室の作品として紹介しています。
- レオナルドはどこを描いた?
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左端の天使です。背景の風景の多くもレオナルドが描いたとする見方があり、ウフィツィ美術館はキリストの姿や画面の金色の光にも関わった可能性を挙げています。全体の構図と主な人物の素描を決めたのは、師のヴェロッキオです。
- 何が描かれている?
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ヨルダン川で、洗礼者ヨハネがキリストの頭に水を注ぐ場面です。ヨハネの左手の巻物には「ECCE AGNUS」とあり、『ヨハネによる福音書』の「見よ、神の小羊」という言葉を指しています。左の椰子の木は救いと命の象徴とされます。
- ピエロ・デッラ・フランチェスカの『キリストの洗礼』と何が違う?
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同じ聖書の場面を描いた、別の画家の別の作品です。ピエロの『キリストの洗礼』は1437〜1445年頃のテンペラ画で、ロンドンのナショナル・ギャラリーにあります。こちらはその約30年後にフィレンツェのヴェロッキオ工房で描かれ、ウフィツィ美術館にあります。
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出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル



