
もとは三連祭壇画の一部で、両脇のパネルは今もサンセポルクロの美術館に残っています。左のクルミの木は、白い樹皮がキリストの肌と呼応しながら画面を黄金比で分割しています。伝統に反して、天使たちはキリストの衣を支えず、互いの手を握り合っているだけです。
見どころ
聖霊の鳩と三位一体
キリストの真上に、前面短縮法で描かれた聖霊の鳩がいます。翼の形は背後の雲に似せて描かれ、もとの祭壇画の額にはこの上に父なる神を示す円形画があった可能性が指摘されています。
手を握り合う3人の天使
画面左では、異なる衣服をまとった3人の天使が互いの手を握っています。伝統的な図像ではキリストの衣を支える役目のはずですが、この作品ではその図像から逸脱しています。
東方風の装いをした人々
洗礼を受けようとする青年の後ろに、ビザンティン帝国の高官を思わせる東方風の被り物をした人物たちが描かれています。当時イタリアを訪れていたギリシャ人たちを反映しているとされています。
サンセポルクロの修道院から
この絵は、ピエロ・デラ・フランチェスカの出生地であるトスカーナのサンセポルクロにあったカマルドリ会修道院から委嘱されたとされています。画面中景でキリストの左に見える町は、サンセポルクロを描いたものかもしれません。清涼な光の描写には、師であるドメニコ・ヴェネツィアーノの「光の絵画」との強い関連が指摘されています。
分裂した祭壇画のその後
修道院は1860年代に解散しました。この中央パネルはそれより前の1859年にイギリスの収集家が購入し、2年後の1861年にナショナル・ギャラリーが取得しています。両脇のパネルと裾絵は、マッテオ・ディ・ジョヴァンニが1460年代初期に手がけたもので、現在もサンセポルクロの市立絵画館に残っています。
幾何学と遠近法への関心
ピエロは遠近法と幾何学の権威として同時代に知られていました。ヨハネの腕と脚は同じ大きさの2つの角度をつくり、人物たちは前面短縮法によって、しっかりと地面に立っているように描かれています。単純化された大ぶりの形態と衣装の精妙な襞が、さわやかな早朝の情景をまとめています。
よくある疑問
- 『キリストの洗礼』(ピエロ・デッラ・フランチェスカ)はどこにある?
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イギリス・ロンドンのナショナル・ギャラリーに所蔵されています。1861年に購入されて以来、ここに収められています。
- いつ描かれた?
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年代測定は物議を醸しており、1439年ごろとする説と、もっと後の1460年ごろとする説があります。ナショナル・ギャラリーは1437年から1445年ごろの制作とし、画家の現存する最も初期の作品とみなしています。
- なぜ三連祭壇画の他のパネルが別の場所にあるの?
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この作品はもともと三連祭壇画の中央パネルで、両脇には聖ペテロと聖パウロを描いたパネルと裾絵がありました。修道院の解散にともないパネルは分かれ、両脇のパネルと裾絵は現在サンセポルクロの市立絵画館にあります。
- なぜ天使が3人いるの?
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三位一体の3つの側面を表しているという解釈と、東西教会の統一を目指した当時のフィレンツェ公会議を示唆しているという解釈があります。どちらが正しいかは確定していません。
基本データ
- 作者
- ピエロ・デラ・フランチェスカPiero della Francesca
- 制作年
- 1437〜1445年頃
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- テンペラ、板
- 寸法
- 167 × 116 cm
- 様式
- Early Renaissance
- 所蔵
- ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
- 展示室
- ルネサンス
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル