ろうそくの光だけで照らされた夜の場面です。光源は幼子イエス自身が手に持つろうそくで、指の隙間から漏れる光が巧みに描かれています。ヨセフが手がける木材は、やがてイエスが磔にされる運命を暗示しているとされます。作者不明のまま20世紀までイギリスに眠っていた絵が、ルーヴル美術館に寄贈されました。
見どころ
ろうそくを持つ幼子
光源は幼子イエスが手にしたろうそくです。指の隙間から漏れる光の描写に、画家の高い技術が発揮されています。
十字架を暗示する木材
聖ヨセフが手がけている木材は、のちにイエスが磔刑になる運命を暗示しているとされています。
光に照らされる聖ヨセフの顔
夜中に仕事をする聖ヨセフの顔と手は、ろうそくの光に照らされています。カラヴァッジョの明暗法の影響がうかがえます。
200年隠れていた無名の絵
1939年、ルーヴル美術館の学芸員ポール・ジャモがラ・トゥール作品をまとめた論文を発表しました。同じ頃、美術商パーシー・ムーア・ターナーがイギリスでこの絵を見つけ、ラ・トゥールの作品であることを発表します。ジャモの死後の1948年、ターナーは彼を偲んでこの絵をルーヴル美術館に寄贈しました。
カラヴァッジョとの違い
ラ・トゥールはイタリアの画家カラヴァッジョから明暗法を学びましたが、光の使い方は異なります。カラヴァッジョがスポットライトのような光を使うのに対し、ラ・トゥールは画面の中にロウソクなどの光源を置くことが多く、この絵でも幼子が持つろうそくの光だけで場面全体が照らされています。画面の色調は、光に照らされた褐色や黄土色、赤紫を基調としています。
高まっていた聖ヨセフ信仰
17世紀のフランスではフランシスコ会の影響により、聖ヨセフへの信仰が高まっていました。幼子として表されたイエスへの崇拝も広く行き渡っており、この傾向はラ・トゥールの出生地であるロレーヌ地方でとりわけ強かったとされています。実の子ではないイエスを育てた聖ヨセフを主役に据えたこの絵には、信仰と家族、労働というメッセージが込められています。
よくある疑問
- 『大工の聖ヨセフ』はどこにある?
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パリのルーヴル美術館に所蔵されています。フランスのブザンソン美術考古博物館には、この作品の複製が所蔵されています。
- 誰が描いた?
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17世紀フランスの画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールが1642年頃に描きました。ロウソクなど単一の光源で夜の場面を描く画風で知られる画家です。
- なぜルーヴルにあるの?
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1939年にイギリスの美術商パーシー・ムーア・ターナーがこの絵を発見し、ラ・トゥールの作品であると発表しました。1948年、ターナーが作品をルーヴル美術館に寄贈しています。
- 何が描かれている?
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大工の聖ヨセフと、彼が育てた幼子イエスです。ヨセフは実の子ではないイエスを育てた人物で、17世紀のフランスでは聖ヨセフへの信仰が高まっていました。
基本データ
- 作者
- ジョルジュ・ド・ラ・トゥールGeorges de La Tour
- 制作年
- 1642年頃
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 130 × 100 cm
- 所蔵
- ルーヴル美術館(パリ)
- 展示室
- バロック・ロココ
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールのほかの作品
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0、撮影: Georges de La Tour)。元ファイル
