父が息子の背に置く2つの手は、左右で描き方が違います。右手はより大きく男性的に、左手はより柔らかく女性的に見え、父性と母性を同時に示していると考えられています。美術史家ケネス・クラークは「美術史上最も素晴らしい絵画」と評しました。
見どころ
父の左右で違う両手
息子の右肩に置かれた父の左手は大きく男性的に見える一方、背中に置かれた右手はより柔らかく受容的に見えます。母性と父性の愛情を同時に示唆すると解釈されています。
跪く放蕩息子
財産を使い果たし、貧困と絶望に陥った惨めな姿の息子が、父の前にひざまずいています。悔い改めて許しを乞い、使用人として仕えることを望んでいます。
右で見守る兄
画面右側で手を組んで立っているのは放蕩息子の兄です。長年忠実に父に仕えてきた兄は、弟の帰還を喜ぶ父の姿に複雑な思いを抱いています。
生涯をかけた主題
レンブラントはこのたとえ話に感動し、1636年のエッチングに始まり、数十年にわたって放蕩息子を主題とする様々な素描、エッチング、絵画を制作しました。『放蕩息子の帰還』には、これらの初期作品に見られた、たとえ話と直接関係のない人物が含まれています。左上のほとんど見えない女性は母親、富を暗示する衣装を着て座っている男性は不動産の顧問あるいは徴収官である可能性が指摘されていますが、正体は議論が続いています。
美術史家たちの絶賛
本作品は後期レンブラントの熟練した技能を示すとされます。レンブラント研究者ヤーコブ・ローゼンバーグは本作を「記念碑的」と呼び、キリスト教の慈悲の思想を並外れた厳粛さで解釈していると評しました。美術史家H・W・ヤンソンは、本作を「レンブラントの最も感動的な絵画」であり、最も静かな時間であり、永遠に伸びる瞬間だと述べています。オランダの司祭ヘンリ・ナウエンはこの絵画に夢中になり、たとえ話とレンブラントの絵画を下敷きにした著書を執筆しました。
収集家をわたった来歴
本作は18世紀に、選帝侯でありケルン大司教のクレメンス・アウグスト・フォン・バイエルンのコレクションに含まれていたことが知られています。その後パリの個人コレクションに渡り、1766年にエルミタージュ・コレクションに入りました。
よくある疑問
- 『放蕩息子の帰還』はどこにある?
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サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館の所蔵です。18世紀にケルン大司教のコレクションに含まれていたことが知られ、1766年にエルミタージュ・コレクションに入りました。
- 何が描かれている?
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新約聖書「ルカによる福音書」の《放蕩息子のたとえ話》が主題です。財産を分与されて放蕩に身を持ちくずした弟が、飢饉の末に父のもとへ帰り、温かく迎え入れられる場面が描かれています。
- レンブラント最晩年の作品?
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はい。レンブラントの最晩年の作品の1つで、おそらく1669年に死去する2年以内に完成したと考えられています。彼はこの主題に生涯を通して取り組み、1636年のエッチングを皮切りに数十年にわたって素描や絵画を制作しました。
- 他にも登場人物がいる?
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はい。画面左上にほとんど見えない女性は母親、富を暗示する衣装で座っている男性は不動産の顧問または徴収官である可能性が指摘されていますが、正体は議論されています。
基本データ
- 作者
- レンブラント・ファン・レインRembrandt
- 制作年
- 1668年頃
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、キャンバス
- 寸法
- 262 × 205 cm
- 所蔵
- エルミタージュ美術館(サンクトペテルブルク)
- 展示室
- バロック・ロココ
レンブラント・ファン・レインのほかの作品
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル
