ほとんどそのままの風景が今も実在する、地理的に正確な一枚です。まっすぐな道の先では猟師の頭が消失点にぴたりと重なって描かれています。X線調査では、道の両側に立っていた木が2本、塗りつぶされていたことがわかりました。
見どころ
消失点に立つ猟師
銃を肩にかけ犬を連れた猟師がこちらに歩いてきます。頭の位置が遠近法の消失点と一致しており、いずれこの猟師とすれ違うかのような感覚を鑑賞者に与えます。
手前と奥のポプラの高低差
道の両側にひょろりと背の高いポプラが並びます。手前の木と奥の木の高さの差が大きいため、地平線の村までは見た目以上に距離があるように感じられます。
地平線に立つ教会の塔
画面前景の両脇はやや暗く描かれ、視線が自然と中央の道を通って奥へと導かれます。その先の地平線に、一段高い塔を持つ教会のある村が見えます。
干拓地が生んだ誇り
オランダには「世界は神が創ったが、オランダはオランダ人が作った」という言葉があります。国土のおよそ25パーセントが海抜ゼロメートル地帯にあるオランダは、堤防と運河を整備し、干拓を繰り返して国土を広げてきました。この絵に描かれた道も木々も区画も、すべて人の手によって作られた干拓地の風景です。
空にも視線を促す仕掛け
空の高いところには鳥が描かれています。画面前景の両側を暗めに描くことで、鑑賞者の視線を中央の田舎道へと導き、風景の奥へ、地平線の村落へと自然に誘い込む構図になっています。ホッベマが実際に見た風景をもとにしながらも、効果を高めるための編集を加えていたことが、木を塗り消した跡からもうかがえます。
よくある疑問
- 『ミッデルハルニスの並木道』はどこにある?
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イギリス・ロンドンのナショナル・ギャラリーに所蔵されています。
- この風景は実在する?
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はい。オランダ南ホラント州のグーレー=オーフェルフラッケエ島にあるミッデルハルニスという土地で、絵の通りの景観がほとんどそのまま残っているとされています。地理的にも正確に描かれています。
- 絵と実際の木の本数が違うのはなぜ?
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X線調査によって、もともとは道の両側にもう1本ずつ、合わせて2本の木が描かれていたことがわかっています。ホッベマは効果を狙って、この2本を塗りつぶして消しました。
- なぜポプラの並木を描いた?
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美術史家の小林頼子は、ポプラの語源がラテン語で「人民」を意味するpopulusであることに触れ、この選択が理にかなっていたのではないかと述べています。人の手で干拓した土地への誇りが、まっすぐな道と整然と並ぶ木々に込められているとされます。
基本データ
- 作者
- メインデルト・ホッベマMeindert Hobbema
- 制作年
- 1689年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、キャンバス
- 寸法
- 103.5 × 141 cm
- 所蔵
- ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
- 展示室
- バロック・ロココ
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル
