『地理学者』は、フェルメールが署名と制作年を記した3点の絵画の1つです。対作品『天文学者』と同一人物がモデルとされ、顕微鏡を発明したレーウェンフックではないかという説があります。制作中にフェルメールは頭の位置や視線の向きを何度も描き直しています。
見どころ
和服のようなガウン
地理学者が羽織るローブは、南蛮貿易でオランダにもたらされた和服を仕立て直したもので、当時のオランダ知識層の流行でした。窓から差し込む光が画面左から右へ斜めに走っています。
ディバイダを持つ右手
右手にはディバイダ(コンパス)が握られています。制作当初は垂直に持たれていましたが、フェルメールは水平に持ち替える変更を加えました。
棚の上の地球儀
背景の棚に置かれた地球儀は、1618年にアムステルダムでヨドクス・ホンディウスが制作したものです。フェルメールは点描技法でカルトゥシュの縁取りを強調しています。
描き直された構図
フェルメールは制作過程で何度か変更を加えています。当初、男性の頭部はさらに左寄りで、視線もより下を向いていました。右手のディバイダは垂直に持たれ、机上の紙は画面右下の椅子に置かれ、背景も現在よりも暗い配色だったと考えられています。
レーウェンフックという仮説
研究者ウィーロックらは、モデルの男性をフェルメールと同年にデルフトで生まれたアントニ・ファン・レーウェンフックだとしています。両家とも織物で生計を立て、科学と光学に強い関心を寄せていました。ただしフェルメールとレーウェンフックの交友を直接示す記録は残っていません。
300年をこえる来歴
1713年にロッテルダムで『天文学者』とともに売却された記録が最初期のものです。以後、複数のコレクターの手を経て1877年ごろにサン・ドナート公パーヴェル・パヴロヴィチ・デミドフの所有となり、1885年にコールバッハを介してシュテーデル美術館の所蔵となりました。
よくある疑問
- 『地理学者』はどこにある?
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フランクフルトのシュテーデル美術館が所蔵しています。1885年にコールバッハが購入し、同館に売却しました。
- モデルは誰?
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はっきりとはわかっていません。研究者ウィーロックらは、フェルメールと同年にデルフトで生まれたアントニ・ファン・レーウェンフックだと推測しています。ただし2人の交友を直接示す記録は残っていません。
- 『天文学者』とはどんな関係?
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同じ男性がモデルとされ、地図製作用の器材や書物など描かれている物も共通しています。サイズはわずかに異なりますが、長年一対の作品として一緒に所蔵されてきました。美術史家セレナ・カントは、2点とも1618年制作の地球儀・天球儀とともに一対として描かれたと推測しています。
- 何が描かれている?
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知的作業に没頭する地理学者が、地図や海図、地球儀、書物に囲まれて描かれています。右手にはディバイダを持ち、窓の外を見つめる視線が思考の深さを表しているとされています。
基本データ
- 作者
- ヨハネス・フェルメールJohannes Vermeer
- 制作年
- 1668〜1669年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 52 × 45.5 cm
- 様式
- オランダ黄金時代の絵画
- 所蔵
- シュテーデル美術館(フランクフルト)
- 展示室
- バロック・ロココ
ヨハネス・フェルメールのほかの作品
《牛乳を注ぐ女》 《デルフト眺望》 《真珠の首飾りの女》 《真珠の耳飾りの少女》 《絵画芸術》
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル
