豪華な衣装でソファにくつろぐポンパドゥール夫人の絵には、立場の危うさを暗示する仕掛けが隠されています。消えかけたロウソク、背後の時計、床に落ちたバラです。夫人は国王ルイ15世の寵愛を失った後も、大臣に等しい政治顧問であり続けました。
見どころ
国璽が示す政治的影響力
サイドテーブルの上に置かれた国璽(国家の印章)は、夫人が持つ政治的な影響力を象徴しています。かたわらには本や楽譜、素描も見えます。
消えかけたロウソクと時計
背景に描かれた消えかけたロウソクと時計は、華やかな生活の裏にある夫人の立場の危うさをそれとなく示しています。
床のバラと愛犬ミミ
画面下部左側には夫人の愛犬ミミが描かれています。床とテーブルの上に散らばるバラは、夫人が着ているドレスのバラ飾りと呼応しています。
「公式の愛妾」という立場
ポンパドゥール夫人はヴェルサイユ宮殿でルイ15世の愛妾となり、影の薄い王妃マリー・レグザンスカに次ぐ第二夫人の地位にありました。国王の寵愛が5年ほどで自身から去った後も、良き友人として国王を楽しませる手立てを考え続け、地位と影響力を維持しています。
20回以上描かれた肖像
ポンパドゥール夫人の肖像は20回以上描かれました。ブーシェのほかナティエ、ラ・トゥール、ヴァン・ローらが夫人から一連の肖像画の依頼を受けています。それぞれの作品は、夫人について特定のメッセージを伝えるべく意図されたものでした。
贅沢さの裏にある不安
本作は夫人の肖像画の中でも最も名高い1点です。彼女の日常生活の一瞬を切り取ることで、優れた才能と知性を身に着けた女性として描かれると同時に、豪華な生活の裏にある立場の危うさもそれとなく暗示しています。
よくある疑問
- 『ポンパドゥール夫人』はどこにある?
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ミュンヘンのアルテ・ピナコテークで展示されています。1971年にヒポフェラインス銀行が購入し、以来同行からの永久貸与作品として展示されています。
- モデルは誰?
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フランス国王ルイ15世の公式の愛妾ポンパドゥール夫人(当時37歳)です。1745年に国王と関係を結び、寵愛が去った後も政治顧問として影響力を保ちました。
- なぜ本や楽譜が描かれている?
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夫人自身が、優れた才能や知性、芸術への関心を持つ女性として見られることを望んでいたためです。
- 他にも肖像画がある?
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20回以上肖像を描かれており、ブーシェのほかナティエ、ラ・トゥール、ヴァン・ローらも手がけています。いずれも夫人の公的な地位を宣伝し強化する目的がありました。
基本データ
- 作者
- フランソワ・ブーシェFrançois Boucher
- 制作年
- 1756年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 201 × 157 cm
- 様式
- ロココ
- 所蔵
- アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン)
- 展示室
- バロック・ロココ
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル
