ラ・トゥールは同じ主題を2枚描いていて、この絵はダイヤのエースを隠し持つ男が描かれたルーヴル版です。当時知られていたラ・トゥール作品はすべて夜の情景で、作風が大きく異なるこの絵も、テーブルの下にはっきりと入った署名によって彼の作品と認定されました。
見どころ
エースを隠す男
画面左端の男性は、ベルトの後ろにダイヤのエースを隠し持っています。17世紀ヨーロッパで最大の悪徳とされた「賭博」を象徴する人物です。
目配せする2人の女性
ワイングラスを手にした横顔の女性は「飲酒」を、宝石と豪華な衣装で胸元をはだけた正面向きの女性は「淫蕩」を象徴しています。娼婦の女性が横顔の女性へ、横顔の女性が左端の男へと目配せをつなげています。
だまされる青年
右端の青年は、この3人にこれから金をだまし取られようとしています。世間知らずで欲深な若者が、世慣れた悪賢い人々に負けるという教訓が描かれているとされています。
夜の絵師の、珍しい昼の絵
1931年にラ・トゥールの作品と認定されるまで、彼の作品リストにあったのはすべて夜の情景を描いたものでした。昼間の場面を描くこの絵は作風が大きく異なっていましたが、テーブルの下の署名が決め手となり、研究者ヘルマン・フォスによって真作と認められています。
テニス選手が見つけた名画
このルーヴル版は、もとはフランスの世界的テニス選手ピエール・ランドリーが1926年に古美術商から購入したものです。ランドリーは1923年にナント美術館の『ヴィエル弾き』をラ・トゥールの作品だと見なした早期の目利きでもありました。彼が所有していたこの絵は、1972年にルーヴル美術館へ譲渡されています。
スイスで見つかった、もう1枚
1934年、美術史家シャルル・ステルランがスイスのジュネーヴにもう1点の『いかさま師』があることを指摘しました。以来、2つの作品は並べて展示され、左端の男が持つカードの違いによって「ダイヤのエース」版と「クラブのエース」版に区別されるようになりました。ジュネーヴにあった作品は1981年にキンベル美術館が購入しています。この主題は、カラヴァッジョの『トランプ詐欺師』に先例があるとされています。
よくある疑問
- 『ダイヤのエースを持ついかさま師』はどこにある?
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パリのルーヴル美術館に所蔵されています。
- クラブのエース版とは何が違う?
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同じ主題でもう1点『クラブのエースを持ついかさま師』があり、こちらはテキサス州フォートワースのキンベル美術館に所蔵されています。左端の男が隠し持つカードの種類でこの2作品は区別されています。
- 何が描かれている場面?
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17世紀ヨーロッパで最大の悪徳とされた賭博、飲酒、淫蕩の3人が、右端の世間知らずな青年をだまそうとしている場面です。金を浪費した放蕩息子の寓話を示唆しているという見方もあります。
- 本物のラ・トゥール作品だとどうやって確認された?
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テーブルの下に「ゲオルギウス・ド・ラ・トゥール」という署名がはっきりと入っていたためです。当時知られていた作品がすべて夜の情景だったのに対しこの絵は昼の情景で作風が異なっていましたが、1931年に研究者ヘルマン・フォスが真作と認定しました。
基本データ
- 作者
- ジョルジュ・ド・ラ・トゥールGeorges de La Tour
- 制作年
- 1636〜1638年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、キャンバス
- 寸法
- 106 × 146 cm
- 所蔵
- ルーヴル美術館(パリ)
- 展示室
- バロック・ロココ
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出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル
