
この作品のデータ
| 作者 | ジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー | 同じ作家の作品 5点 |
|---|---|---|
| 制作年 | 1846年発表 | |
| 時代 | 近代 | 同じ時代の作品 43点 |
| 様式 | — | |
| 種別 | 絵画 | |
| 技法・素材 | 油彩、カンヴァス | |
| 所蔵 | テート・ブリテンロンドン | 同じ所蔵の作品 5点 |
| 有名度 | ★★★ | |
| 展覧会 | テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話国立西洋美術館(東京都)2026年10月24日(土)〜2027年2月21日(日) | 開催中 |
題名の「捕鯨船エレバス号」は、記録に残っていない船です。エレバス号は1845年に北西航路を探しに出たまま戻らなかった探検船の名で、ターナーはその話題に乗ったと考えられています。発表の年には、黄色の絵の具のバケツにモップを浸すターナーの風刺画まで出ました。
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見どころ
正面から見る太陽
画面の中央に、霧を透かした太陽の光が広がっています。見る人は太陽をまっすぐ見つめる位置に置かれています。発表時に『タイムズ』紙は、この光のまばゆさと高い空の巻雲の描き方を見事だと称えました。
帆船と鯨の解体
右側には、帆を張った捕鯨船が霧の中に浮かびます。船の脇では鯨の頭を甲板に吊り上げ、脂肪を帯のように切り取る「カッティング・イン」が行われています。研究者のバリー・ヴェニングは、その手順が正確に描かれていると指摘しています。
小舟にひしめく男たち
左下では、小舟に乗った大勢の男たちが船の方へ身を乗り出しています。題名の「万歳! もう一頭獲ったぞ!」は、こうした男たちの叫び声を思わせます。ターナーの「捕鯨船」スケッチブックには、隅で「万歳」と叫ぶ人物を描いた下絵もあります。
名前に込めた北極の話題
この絵は1846年のロイヤル・アカデミー展に、「ビールの航海記より」という添え書きつきで出品されました。前の年の捕鯨の絵2点は南極海の場面です。この年の2点は、北極海の捕鯨に舞台を移しています。
研究者のヴェニングは、エレバスという名前が、対の作品で氷に閉じ込められた捕鯨船を暗示していると考えました。1835〜36年の冬、14隻の捕鯨船が北の海で氷に閉ざされます。海軍はエレバス号とテラー号を救援に出すと約束しましたが、結局は送りませんでした。そもそも船が危険な北へ向かったのは、北大西洋で鯨を捕りすぎたからです。
ターナー自身も、エレバス号とテラー号の航海をまとめた博物誌のうち、魚類の巻を持っていました。
捕鯨の本から聞こえる歓声
題名は、トマス・ビールの『マッコウクジラの博物誌』の2つの場面を下敷きにしている可能性があります。一つは、別々の捕鯨船から出た9隻のボートが1頭の鯨を追い、男たちが互いの母船の名を叫び合う場面です。もう一つは、航海の最後の1頭を仕留めたときの歓声です。
酷評と賛辞のあいだ
この年の捕鯨の絵2点のうち、なぜかこちらがはるかに激しく叩かれました。美術誌『アート・ユニオン』は、題名を読まなければ何の絵かわからないと書きました。目に留まる形は帆と索具だけだというのです。風刺誌は、題名を「おーい、油と酢だ、ロブスターサラダをもう一皿」に変えるべきだと茶化しました。
一方で『タイムズ』紙は、この絵こそターナーを笑いものにする人を黙らせるはずだと書いています。『リテラリー・ガゼット』紙も、この年のターナーの出品作を魔法のように調和した画面だと評しました。黒いはずの船がクロムイエローに、鯨がきらめくピンクになっていても、目を奪われるというのです。
ターナーの死後、絵は1856年に「ターナー遺贈」の一点として国のものになりました。1929年にテート・ギャラリーへ移っています。同じテートには、36年前の作品『グリゾン州の雪崩』もあります。
読んだらクイズ
この拡大は、どの見どころ?

帆船と鯨の解体右側には、帆を張った捕鯨船が霧の中に浮かびます。船の脇では鯨の頭を甲板に吊り上げ、脂肪を帯のように切り取る「カッティング・イン」が行われています。研究者のバリー・ヴェニングは、その手順が正確に描かれていると指摘しています。
次に見る1枚
よくある疑問
- 『捕鯨船エレバス号に万歳! もう一頭獲ったぞ!』はどこにある?
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ロンドンのテートが所蔵し、テート・ブリテンを拠点とするターナーのコレクションに含まれます。展示されていない時期もあるので、見に行く前にテートの作品ページで展示状況を確かめてください。
- エレバス号という捕鯨船は実在したの?
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そういう名前の捕鯨船の記録はありません。エレバス号は、テラー号とともに北西航路の探索に出た探検船の名前です。1845年に出航し、この絵が発表された1846年にもまだ戻らず、1847年に失われたものとして放棄されました。
- 対になる作品はある?
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同じ1846年に発表された『流氷に閉じ込められ、抜け出そうとする捕鯨船(鯨油を煮る)』と対になっています。こちらが鯨の解体を、もう一方がその次の工程である脂肪を煮る場面を描いています。この作品もテートが所蔵しています。
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ジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーのほかの作品
《グリゾン州の雪崩》 《荒海とイルカ》 《戦艦テメレール号》 《雨、蒸気、速度――グレート・ウェスタン鉄道》
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル



