ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》1891年
ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュMoulin Rouge: La Goulue
1891年
多色リトグラフ(4色)、紙
インディアナポリス美術館、メトロポリタン美術館ほか(版画のため各地に現存)

この作品のデータ

作者アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック同じ作家の作品 2点
制作年1891年
時代印象派以後同じ時代の作品 105点
様式アール・ヌーヴォー同じ様式の作品 3点
種別版画同じ種別の作品 5点
技法・素材多色リトグラフ(4色)、紙
所蔵インディアナポリス美術館、メトロポリタン美術館ほか版画のため各地に現存
有名度★★★
展覧会“カフェ”に集う芸術家 印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまでひろしま美術館(広島県)2026年10月3日(土)〜2027年1月11日(月)開催中
何がすごいのか

ロートレックが初めて手がけたリトグラフで、初めて作ったポスターです。宣伝用に約3,000枚が摺られ、パリの街に貼り出されました。実在の踊り手を広告に登場させたのは、ポスターの歴史でもこれが初めてとされます。貼られて消えるはずの広告は、1年もたたずに1890年代パリの象徴になりました。

見どころ

三度くり返す店名

上部には「MOULIN ROUGE」の文字が赤で3回並びます。くり返された店名が、見る人の目を画面の中央の踊り手へ導きます。

白いペチコートの踊り手

中央で脚を上げてカンカンを踊るのが、店の人気ダンサー、ラ・グーリュです。白いペチコートは、紙の白を残してわずかな線だけで描かれています。

前景の男と影絵の観客

右手前には、相方のヴァランタン・ル・デゾッセが大きく描かれています。奥の観客は黒い影絵にまとめられ、日本の美術を思わせる処理で踊り手を引き立てています。

開店2年目のダンス場の広告

ムーラン・ルージュは1889年にモンマルトルで開店し、すぐに丘の名所になりました。ロートレックは開店当初からの常連客です。店の支配人シャルル・ジドレールが、もっと目を引くポスターを求めてこの若い画家に依頼しました。

当時のポスターは文字の多いものが主流でした。ロートレックは文字を店名と出し物に絞り、大胆な色面と少ない線で画面を組み立てています。題材にも、脚を高く上げる踊りで評判だったラ・グーリュを選びました。

一夜で有名になった画家

リトグラフは初めての挑戦でしたが、ロートレックはこの技法の可能性をすでにつかんでいました。パリに貼られたポスターは目を引く構図と色で評判を呼び、画家は一夜にして有名になります。

インディアナポリス美術館は、その広がりの速さを紹介しています。数日のうちに収集の対象になり、数週間で新聞に取り上げられ、数か月で前衛的な展覧会に絵画と並んで飾られたといいます。ロートレックはその後もムーラン・ルージュに通い、店内の人びとを油彩画『ムーラン・ルージュにて』にも描きました。

読んだらクイズ

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よくある疑問

『ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ』はどこにある?

ポスターなので1枚だけの原画はなく、残った摺りが各地の美術館にあります。インディアナポリス美術館の1枚は、1932年に地元の収集団体ギャンボリアーズのために購入され、1936年に寄贈されました。ニューヨークのメトロポリタン美術館も2枚を所蔵しています。

何枚刷られた?

おそらく約3,000枚とされます。ほとんどは広告として街に貼られ、失われました。

描かれているのは誰?

中央はカンカンの踊り手ラ・グーリュ(「大食らい」の意味のあだ名)です。右手前は、体のやわらかさから「骨なし」と呼ばれた相方のヴァランタン・ル・デゾッセです。

どれくらいの大きさ?

3枚の紙をつないだ大判のポスターです。メトロポリタン美術館の完全な摺りは縦190cm、横116.5cmあります。同館には上の帯が欠けた摺りもあり、こちらは縦168cmです。

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