猫梅

菱田春草《猫梅》1906年(明治39年)
菱田春草Hishida Shunsō
猫梅Cat and Plum Blossoms
1906年(明治39年)
絹本著色、118.0 × 49.8 cm
足立美術館(島根県安来市)

この作品のデータ

作者菱田春草同じ作家の作品 3点
制作年1906年(明治39年)
時代日本・近代同じ時代の作品 19点
様式—
種別絵画
技法・素材絹本著色
所蔵足立美術館島根県安来市
有名度★★★
展覧会秋季特別展「侍-日本画の革新に挑んだ7人-」足立美術館(島根県)2026年8月31日(月)〜11月30日(月)開催中
何がすごいのか

菱田春草の猫の絵といえば、文展に出品した名作《黒き猫》が知られています。この『猫梅』はその4年前、1906年の作品です。所蔵する足立美術館は、《黒き猫》で完成する写実と装飾の融合が、この絵ですでに追求されていると解説しています。

見どころ

目を閉じてうずくまる猫

画面の下のほうで、白地に黒いぶちの猫が目を閉じてうずくまっています。白い毛並みは、細かな筆づかいで描かれています。

白い花をつけた梅の枝

左から細い梅の枝が伸び、小さな白い花がところどころに咲いています。枝は細い線で、花は白い点で、簡潔に描かれています。

輪郭のない梅の幹

画面の右側には、梅の古い幹が大きく斜めに立ち上がっています。はっきりした輪郭線はなく、墨と緑みを帯びた色のにじみで、ごつごつした幹の形が表されています。

朦朧体の時代のあとで

春草は大観とともに、線を引かずに色の濃淡で形を表す「没線彩画」を試みました。この技法は世間から「朦朧体」と呼ばれ、非難も受けています。輪郭線を用いない実験の代表作には『菊慈童』(1900年)があります。

足立美術館には、朦朧体が非難されていた1902年の『紫陽花』も収蔵されています。『猫梅』はその4年後の作品で、猫は細かく写実的に、梅の幹は輪郭のないにじみで描き分けられています。

文展へ向かう前の1枚

日本美術院の活動が下火になると、春草は文展に意欲作を出品するようになりました。その文展出品作の1つが《黒き猫》です。

春草は1911年(明治44年)に亡くなりました。足立美術館は本作を、夭逝した天才画家だからこそ描けた秀作と評しています。

よくある疑問

『猫梅』はどこにある?

島根県安来市の足立美術館が所蔵しています。足立美術館は横山大観や菱田春草など、近代日本画のコレクションで知られる美術館です。展示されているかどうかは時期によって変わります。

《黒き猫》とはどんな関係?

《黒き猫》は春草が文展に出品した作品で、『猫梅』はその4年前に描かれました。足立美術館は、《黒き猫》で完成する写実と装飾の融合が、本作ですでに追求されていると位置づけています。

菱田春草はどんな画家?

1874年に長野県で生まれ、東京美術学校で岡倉天心や橋本雅邦に学びました。1898年の日本美術院の創立に加わり、横山大観とともに輪郭線を使わない描き方を試みて「朦朧体」と呼ばれました。1911年、30代で亡くなっています。

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菱田春草のほかの作品

《水鏡》 《菊慈童》

出典・画像について

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