
この作品のデータ
| 作者 | 月岡芳年 | |
|---|---|---|
| 制作年 | 1886年(明治19年)3月 | |
| 時代 | 日本・近代 | 同じ時代の作品 19点 |
| 様式 | — | |
| 種別 | 浮世絵 | |
| 技法・素材 | 木版多色刷、大判錦絵 | |
| 所蔵 | 各地に現存版画 | |
| 有名度 | ★★★ | |
| 展覧会 | NHK日曜美術館50年展大阪中之島美術館(大阪府)2026年10月10日(土)〜12月20日(日) | 開催中 |
体の向こうの蔓が透けて見えるこの女性は、『源氏物語』の夕顔の亡霊です。まわりには、名の由来になった夕顔の蔓と白い花が絡みつき、左上の満月が照らしています。芳年は晩年、この版画をもとに絹に描いた掛軸も残しました。
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見どころ
透けて見える夕顔の姿
長い髪を垂らした女性の着物は、輪郭の線だけで描かれています。体の向こう側の蔓や葉が透けて見え、この世の人ではないことがわかります。
白い花と実
画面の右には、白い夕顔の花と、蔓から下がる細長い実が描かれています。花は画面の上下に散らされ、亡霊の体に重なるように配置されています。
左上の満月
画面の左上には、大きな満月が描かれています。「月百姿」は、どの図も月にちなんだ物語を題材にしています。
余白の多い晩年の連作
「月百姿」は1885年10月に最初の5点が出され、1892年4月まで数点ずつ刊行されました。芳年は完結直後の1892年6月に亡くなり、同じ月に全100点を揃えた画帖が売り出されています。この図は明治19年(1886年)3月に届け出られました。
連作の画面は、隙間なく埋める多くの錦絵と違い、余白を多く取った静かなつくりです。明治の錦絵に多かった鮮やかな赤も抑えられ、芳年の印のほかに赤をまったく使わない図も多くあります。この図も、青から白へのぼかしと緑の葉が画面の色の中心です。
版画から掛軸へ
メトロポリタン美術館は、この版画をもとに芳年が描いた掛軸を所蔵しています。1892年頃の作で、絹に墨と色で描かれ、画面は104.8 × 40.6 cmです。半ば透けた夕顔の霊が、月明かりのなかで夕顔の蔓に囲まれています。
芳年は歌川国芳の弟子でした。師の国芳も、相馬の古内裏で物語の怪異を大きな画面に描いています。
よくある疑問
- 『月百姿 源氏夕顔巻』はどこにある?
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木版画なので原本は1点ではなく、複数の摺りが残っています。太田記念美術館、ヒューストン美術館、ニューメキシコ州サンタフェの国際民俗美術館、スミソニアン国立アジア美術館などが所蔵しています。
- 何の場面を描いている?
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『源氏物語』の「夕顔」の巻を下敷きにした謡曲「半蔀」「夕顔」に取材しています。夕顔が六条御息所の生霊に取り殺された屋敷を僧が訪れ、その前に夕顔の霊が現れる場面です。
- 「月百姿」とは?
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月岡芳年が1885年から1892年にかけて発表した、月をテーマにした100点の連作です。版元は日本橋の秋山武右衛門で、芳年の晩年の代表作とされています。
