出走前

エドガー・ドガ《出走前》1879年
出走前Before the Start
1879年
油彩、カンヴァス、39.5 × 89 cm
ビュールレ・コレクション(チューリッヒ美術館)
何がすごいのか

印象派の画家でありながら、ドガは屋外の光景をほとんど描きませんでした。普仏戦争への従軍中に目を傷め、まぶしさに弱くなったためとされています。競馬場は、彼が屋外を描いた数少ない例外のひとつでした。

見どころ

屋外を選べなかった理由

ドガは普仏戦争に国民衛兵として従軍した際、寒さで目を傷め、俗に「まぶしがり症」といわれる網膜の病気を患いました。外に出ることがままならず、屋外の風景を描いたものは競馬場など人が多く集まる場所に限られています。

現代生活を古典の手法で

ドガの制作の基盤は、ルネサンスの巨匠や熱烈に信奉したアングルの画風にありました。光や影の移ろいをとらえた典型的な印象派の画家たちとは異なり、古典的な手法で現代の都会生活を描き出すことから、自らを「現代生活の古典画家」と位置づけています。

繰り返し描かれた出走前

ドガは1870年代後半、スタート前の騎手たちという主題を何度も手がけています。バーバー美術館が所蔵する同時期の類作『スタート前の騎手たち』(1878-1880年)もそのひとつです。

都会生活に向けられた眼

ドガの関心の対象は、徹底して都会生活とその中の人間でした。初期には海辺の情景なども描きましたが、1870年代後半のモノタイプによる作品では客と娼婦の姿が、1880年代半ば以降のパステル作品では身づくろいをする女性の姿が主題になっています。バレエの踊り子と浴女を題材にした作品が特に多く、一瞬の何気ない動作を永遠化する素描力が高く評価されています。

馬という題材

ドガは晩年、視力の衰えもあって、デッサン人形として使った踊り子や馬を題材にした塑像や彫刻も手がけました。これらはドガの死後にアトリエから発見されています。競馬や騎手は、バレエの踊り子と並んでドガが繰り返し取り組んだ主題のひとつでした。

よくある疑問

『出走前』はどこにある?

スイスのビュールレ・コレクションが所蔵し、チューリッヒ美術館で展示されています。

なぜドガは屋外の絵が少ない?

普仏戦争に従軍した際に目を傷め、まぶしさに弱くなる網膜の病気を患ったことが関係しているとされています。屋外を描いた作品は、競馬場のような人が多く集まる場所に限られていました。

ドガは印象派の画家?

全8回の印象派展のうち第7回を除くすべてに参加した、印象派の一員とみなされる画家です。ただし光と影の変化を写し取ろうとしたモネらとは異なり、ルネサンスの巨匠やアングルの画風を基盤としていました。

同じ主題の絵は他にもある?

はい。1878年から1880年ごろにかけて、ドガは騎手たちのスタート前の光景を繰り返し描いています。イギリスのバーバー美術館が所蔵する『スタート前の騎手たち』も同時期の類作です。

基本データ

作者
エドガー・ドガEdgar Degas
制作年
1879年
種別
絵画
技法・素材
油彩、カンヴァス
寸法
39.5 × 89 cm
所蔵
ビュールレ・コレクション(チューリッヒ美術館)

エドガー・ドガのほかの作品

《舞台のバレエ稽古》 《アブサントを飲む人》 《エトワール》 《14才の少女ダンサー》

出典・画像について

画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル

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