二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉

東洲斎写楽《二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉》1794年(寛政6年)5月
二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉Arashi Ryuzo as Ishibe Kinkichi the Moneylender
1794年(寛政6年)5月
木版多色刷、大判錦絵(雲母摺)
各地に現存(版画)

この作品のデータ

作者東洲斎写楽同じ作家の作品 2点
制作年1794年(寛政6年)5月
時代日本・近世まで同じ時代の作品 42点
様式—
種別浮世絵
技法・素材木版多色刷、大判錦絵(雲母摺)
所蔵各地に現存版画
有名度★★★
展覧会五大浮世絵師 歌麿に写楽、北斎と広重、そして国芳札幌芸術の森美術館(北海道)2026年10月10日(土)〜2027年1月11日(月)開催中
何がすごいのか

写楽が描いたこの役者の役どころは、意地の悪い金貸しです。演目は1794年5月に江戸の都座で上演された『花菖蒲文禄曽我』。灰色に光る雲母摺の背景の前で、格子柄の着物の袖をまくり上げています。東京国立博物館の所蔵品は重要文化財に指定されています。

見どころ

上目づかいの顔

剃り上げた頭に髷をのせた二代目嵐龍蔵が、目を上に向け、口をへの字に結んでいます。着物は橙色の格子柄です。

袖をまくる手

片手で襟元をつかみ、もう一方の手で着物の袖をまくり上げています。アムステルダム国立美術館の解説も、袖をまくる仕草に触れています。

雲母摺の背景と署名

背景は雲母の粉を摺り込んだ灰色の地で、角度によって光ります。右端には「東洲斎写楽画」の署名が摺られています。

同じ舞台を描いた連作

『花菖蒲文禄曽我』は、寛政6年(1794年)5月に都座で上演されました。写楽はこの舞台から、金貸しの石部金吉のほかにも複数の役者を描いています。仇討ちを助ける家臣・大岸蔵人を演じた三代目沢村宗十郎の図や、刀を抜いて義兄弟の仇討ちに加わる石井源蔵を演じた二代目坂東三津五郎の図がその例です。アムステルダム国立美術館は、この図の石部金吉を悪意のある金貸しと説明しています。

10か月で消えた絵師

写楽の経歴はほとんどわかっていません。役者絵を描いたのは1794年から95年にかけての約10か月だけです。シカゴ美術館は、写楽の役者絵を、風刺と装飾性をあわせ持つ率直で鋭い肖像と評しています。

同じ1794年5月の作に、河原崎座の舞台を描いた三代目大谷鬼次の江戸兵衛があります。あちらは背景が黒雲母摺で、灰色に光るこの図とは地の色が大きく違います。

よくある疑問

『二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉』はどこにある?

木版画なので原本は1点ではなく、複数の摺りが残っています。東京国立博物館の1枚は重要文化財で、寸法は37.5 × 24.7 cmです。ほかにブルックリン美術館、メトロポリタン美術館、アムステルダム国立美術館、ハーバード美術館、シカゴ美術館などが所蔵しています。

『花菖蒲文禄曽我』はどんな芝居?

1701年に実際に起きて江戸の人々を騒がせた事件をもとにした芝居です。幕府は時事を扱うことを好まなかったため、12世紀の曽我兄弟の仇討ちの話に置き換えて上演されました。写楽は同じ舞台から、ほかの役者も描いています。

背景はなぜ灰色?

雲母を摺り込んだ地色です。メトロポリタン美術館は白雲母を使ったと記録しています。同じ時期の写楽の役者絵には、黒地に雲母を摺った黒雲母摺の作品もあります。

東洲斎写楽の画集を Amazon で探す

東洲斎写楽のほかの作品

《三代目大谷鬼次の江戸兵衛》

出典・画像について

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!