
鏡に映る奇妙な光景が、発表直後から批評家を悩ませました。バーメイドの後ろ姿が右にずれ、応対する紳士が手前に見当たらないなど矛盾だらけに見えましたが、2000年に復元されたミュージックホールでの撮影で、鑑賞者がバーメイドの正面ではなく右側に立っているという構図だったことが分かっています。
見どころ
うつろな目のバーメイド
中央に立つバーメイドは、少し左を向いてうつろな表情を浮かべています。鑑賞者は彼女の正面ではなく、少し離れた右側に立つという設定です。
署名の入ったワイン瓶
手前左端の赤い液体の入った瓶のラベルには「Manet 1882」の署名があります。カウンターにはオレンジの皿もあり、彼女が娼婦であることを暗示しています。
鏡に映る曲芸師の足
画面左上、鏡に映り込んだ会場の様子のなかに、空中ブランコに乗った人物の足が見えます。当時のフォリー・ベルジェールではバレエや曲芸が行われていました。
マネ最後の大作
本作は1882年のサロン・ド・パリに出品されました。マネが完成させた最後の主要作品にあたります。マネは何度もフォリー・ベルジェールに通い、実在のバーメイド、シュゾンを自宅に招いてカウンターの一部を再現し、絵を仕上げました。
娼婦を思わせる小道具
うつろな表情のバーメイドの前には、オレンジの入った皿が置かれています。これは彼女が娼婦であることを暗示する小道具とされています。当時のフォリー・ベルジェールは娼婦を抱える施設として広く知られ、モーパッサンは小説『ベラミ』でバーメイドを「酒と愛の売り子」と表現しました。
ラス・メニーナスとの関係
鏡を使って画面の奥行きを操作するこの構図は、ベラスケスの『ラス・メニーナス』を意識したものとされています。手前左端の瓶のラベルには「Manet 1882」の署名があり、絵の内と外を混同させる仕掛けになっています。
よくある疑問
- 『フォリー・ベルジェールのバー』はどこにある?
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ロンドンのコートールド・ギャラリーの所蔵です。マネの隣人だった作曲家エマニュエル・シャブリエが所有していた作品が、のちに同館に渡りました。
- 何が描かれている?
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パリのミュージックホール、フォリー・ベルジェールにあるバーの様子です。中央のバーメイドの背後には鏡があり、そこに客や舞台の空中ブランコなど会場の様子が映り込んでいます。
- 鏡の映り方はなぜおかしく見える?
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バーメイドの後ろ姿が右にずれ、応対する紳士の姿が手前にないなど、長年不自然だとされてきました。しかし2000年に復元されたミュージックホールでの撮影で、鑑賞者がバーメイドの右側に立つ構図だと分かり、矛盾ではないことが確認されています。
- バーメイドのモデルは誰?
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シュゾンという名の実在のバーメイドです。マネは何度もフォリー・ベルジェールに足を運んだうえで、自宅にカウンターの一部を再現し、彼女をモデルに絵を完成させました。
基本データ
エドゥアール・マネのほかの作品
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(CC BY 2.0、撮影: Édouard Manet)。元ファイル