
この黄色いキリスト像は、ゴーギャンの想像ではありません。ブルターニュの礼拝堂で見つけた17世紀の作者不明の木彫り十字架がモデルです。第二次世界大戦中にはナチスドイツに接収され、戦後になって持ち主に返還されました。
見どころ
黄色い十字架像
画面中央には黄色い肌のキリスト磔刑像が描かれています。ポン=タヴァン近くのトレマロ礼拝堂で見つけた、17世紀の作者不明の木彫り十字架像がもとになっています。
祈るブルターニュの女性たち
十字架像の周りには、ブルターニュの伝統衣装を着た3人の女性が祈る姿で描かれています。
秋の風景と重なる色
背景には秋の風景が広がっています。キリストの黄色は秋の色と関連し、磔刑を象徴しているとも考えられています。
礼拝堂で見つけた十字架像
ゴーギャンは1886年から、頻繁にブルターニュのポン=タヴァンに滞在していました。本作が描かれた1889年は、1888年にフィンセント・ファン・ゴッホとアルルで短い共同生活を送った翌年にあたり、パリ万国博覧会の期間中に短くパリを訪れたほかは、ポン=タヴァンで大半を過ごしました。ポン=タヴァンに戻ってすぐ後、近くのトレマロ礼拝堂で17世紀の作者不明の黄色い十字架像を見つけたことが、本作制作のきっかけになったとされています。
クロワゾニスムという様式
『黄色いキリスト』は、暗い輪郭線で囲まれた明るい色の領域を多用する「クロワゾニスム」と呼ばれる、ポスト印象派の典型的な様式で描かれています。同じ年に描かれた『緑のキリスト』とともに、ゴーギャンの初期の象徴的なスタイルを代表する作品です。1890年か1891年に描かれたゴーギャンの自画像には、本作が左右反転して背景に描き込まれています。
戦火をくぐった来歴
本作は友人の画家エミール・シェフネッケルや実業家ギュスターヴ・フェイエの所有を経て、美術商ポール・ローゼンバーグが所有しました。ナチスドイツの侵攻前に安全のためボルドーへ移されていましたが、1941年にドイツ軍に接収されました。1945年にローゼンバーグへ返却され、その1年後にオルブライト=ノックス美術館へ売却されました。
よくある疑問
- 『黄色いキリスト』はどこにある?
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アメリカ、バッファローのオルブライト=ノックス美術館の所蔵です。1946年からこの美術館に収蔵されています。
- 実在の十字架像を描いた?
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はい。ポン=タヴァン近くのトレマロ礼拝堂で見つけた、17世紀の作者不明の黄色い木彫り十字架像がもとになっています。ゴーギャンはこの十字架像を見つけたことがきっかけで本作を制作したとされています。
- なぜキリストが黄色い?
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キリストの黄色は背景の秋の風景と関連しています。秋が磔刑を象徴し、冬が象徴する死と、春が象徴する復活とが対比されているのではないかと考えられています。
- ナチスに接収された?
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はい。所有者だった美術商ポール・ローゼンバーグが第二次世界大戦中、安全のためにボルドーに絵を移していましたが、1941年にドイツ軍に接収されました。1945年にローゼンバーグへ返却され、翌年アメリカのオルブライト=ノックス美術館に売却されました。
基本データ
- 作者
- ポール・ゴーギャンPaul Gauguin
- 制作年
- 1889年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 91.1 × 73.4 cm
- 様式
- 象徴主義
- 所蔵
- オルブライト=ノックス美術館(バッファロー)
- 展示室
- 印象派以後
ポール・ゴーギャンのほかの作品
《タヒチの女たち》 《われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか》
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル