羊飼いの少女

ジャン=フランソワ・ミレー《羊飼いの少女》1863年頃
羊飼いの少女Shepherdess with her Flock
1863年頃
油彩、カンヴァス、81 × 101 cm
オルセー美術館(パリ)
何がすごいのか

国はこの絵を買い取ろうとしましたが、ミレーは国ではなく個人の収集家に売ることを選びました。当時のパリのブルジョワ階級にはとても人気がありましたが、それは彼らが貧しい農民の現実よりも理想化された田園風景を好んだためだったとも指摘されています。

見どころ

逆光に浮かぶ少女

画面中央よりやや右に、羊飼いの少女が静かに立ち、毛糸を編んでいます。三分の一横向きの姿で、質素な服にウールの帽子と赤いフードをかぶっています。逆光による表現は、印象派を10年近く先取りしたと評されています。

群れと1匹の黒犬

少女の背後では、花が点在する草地で羊の群れが草を食んでいます。右端に立つ黒い犬が、群れがつくる水平の対称性に対する視覚的なアクセントになっています。

金色に沈む夕景

雲が太陽をさえぎる曇り空の下、拡散する金色の光が画面全体を包んでいます。羊の背中の羊毛はこの光を受けて、ほかのどの部分よりも輝いて見えます。

1862年からの構想

ミレーは1862年には早くも、羊飼いの少女とその群れを描く作品への意欲を語っていました。友人アルフレッド・サンシエによれば、この主題は「画家の心を捉えて離さなかった」といい、1864年のパリ・サロンで発表されるまで構想を温め続けたとされています。

サロンでは大きな成功を収め、絵は「洗練された作品」「傑作」と評されました。とりわけパリの中産階級に高く評価されましたが、それは貧しい農民の暮らしの実態よりも、理想化された田園風景として受け止められたためだったとも指摘されています。青・赤・金を基調にした落ち着いた色づかいと、細部にまで届く濃密な光の表現が、当時の評価を支えたともされています。

国家ではなく個人へ

発表後、国はこの絵の買い取りを試みましたが、ミレーは収集家ポール・テスへの売却を選びました。その後いくつかの所蔵先を経て、1909年にアルフレッド・ショーシャールの遺贈によってルーヴル美術館の収蔵品となり、1986年にオルセー美術館へ移されました。ミレーの作品としては珍しく、静けさと調和に満ちた画面が持ち味とされています。

よくある疑問

『羊飼いの少女』はどこにある?

パリのオルセー美術館が所蔵しています。1909年にアルフレッド・ショーシャールの遺贈によってルーヴル美術館に収められ、1986年にオルセー美術館へ移されました。

モデルは誰?

明らかにされていません。ミレー自身の娘がモデルだったのではないかとも言われていますが、確証はありません。

当時の評判は?

1864年のサロンで大成功を収め、「洗練された作品」「傑作」と評されました。一方で、貧しい農民の現実よりも理想化された田園風景として、当時のブルジョワ階級に好まれたとも指摘されています。

国が買い取らなかった?

サロンでの発表後、国はこの絵を買い取ろうとしましたが、ミレーは収集家ポール・テスに売ることを選びました。

基本データ

作者
ジャン=フランソワ・ミレーJean-François Millet
制作年
1863年頃
種別
絵画
技法・素材
油彩、カンヴァス
寸法
81 × 101 cm
所蔵
オルセー美術館(パリ)
展示室
近代

ジャン=フランソワ・ミレーのほかの作品

《種まく人》 《落穂拾い》 《晩鐘》

出典・画像について

画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル

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