小椅子の聖母

ラファエロ・サンティ《小椅子の聖母》1513〜1514年ごろ
小椅子の聖母Madonna della Seggiola
1513〜1514年ごろ
油彩、板、71 × 71 cm
パラティーナ美術館(フィレンツェ)
何がすごいのか

ラファエロが円形の「トンド」という珍しい形で描いた聖母子像です。教育者マリア・モンテッソーリは、この絵を母子の愛情の象徴として、世界中の「子供の家」に飾られることを願ったと伝えられています。19世紀の画家アングルは、自分の作品の背景に何度もこの絵を描き込んでいます。

見どころ

円形に収まる聖母子

幼子キリストを抱きしめる聖母マリアと、幼児洗礼者聖ヨハネの3人が、円形のトンドという形式の中に収められています。

敬虔に見つめるヨハネ

幼い洗礼者聖ヨハネは、聖母子を敬虔な表情で見つめています。マリア・モンテッソーリはこの構図を母子の愛情の象徴とみなしました。

暖色を基調にした色使い

フィレンツェ時代の厳格な様式美とは異なり、暖色系の色使いが特徴です。ティツィアーノやセバスティアーノ・デル・ピオンボからの影響が指摘されています。

フィレンツェ時代との作風の違い

『小椅子の聖母』は、ラファエロのキャリア後期「ローマ時代」の作品です。同じ聖母子のモチーフでも、キャリア中期の「フィレンツェ時代」に描かれた厳格な様式美の作品とは、まったく異なる作風になっています。暖色系の色使いには、当時の競争相手だったセバスティアーノ・デル・ピオンボや、ティツィアーノからの影響の可能性が指摘されています。

母子の愛情の象徴として

医学者でモンテッソーリ教育の創始者マリア・モンテッソーリは、この絵を母マリアの母性と幼児ヨハネの親愛の情の象徴とみなし、世界中の「子供の家」に飾られることを願ったと伝えられています。19世紀の画家アングルもラファエロを高く評価しており、自作の中にこの絵を繰り返し描き込んでいます。『子供と遊ぶアンリ4世』や『ラファエロとフォルナリーナ』の背景の壁に描いたほか、『リヴィエール氏の肖像』ではテーブルに置かれた紙に、『玉座のナポレオン』では絨毯の模様にこの絵をデザイン化しています。

よくある疑問

『小椅子の聖母』はどこにある?

イタリア・フィレンツェのピッティ宮殿内、パラティーナ美術館に所蔵されています。

「トンド」とは何?

円形の額や画面に描かれた絵画の形式のことです。本作は幼児キリストを抱く聖母マリアと幼児洗礼者聖ヨハネの3人が、円の中に描かれています。

いつ頃描かれた?

ラファエロのキャリア後期にあたる「ローマ時代」、1513年から1514年ごろに描かれたとされています。キャリア中期の「フィレンツェ時代」に描いた同様のモチーフの作品とは、作風がまったく異なります。

後世の芸術家に影響を与えた?

19世紀の新古典主義の画家ドミニク・アングルが、自身の複数の作品の背景や小物にこの絵を描き込んでいます。ラファエロを高く評価していたことの表れとされています。

基本データ

制作年
1513〜1514年ごろ
種別
絵画
技法・素材
油彩、板
寸法
71 × 71 cm
様式
盛期ルネサンス
所蔵
パラティーナ美術館(フィレンツェ)

ラファエロ・サンティのほかの作品

《牧場の聖母》 《アテナイの学堂》 《システィーナの聖母》

出典・画像について

画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル

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