
ラファエロは23歳、フィレンツェに着いてまだ数か月というときにこの絵を描きました。三角形の構図はレオナルドの『岩窟の聖母』から学んだものですが、レオナルドの正三角形とは違い、ラファエロは二等辺三角形に組み替えています。幼子が握ろうとする十字架のそばに咲くケシの花は、やがて訪れる受難を暗示しています。
見どころ
聖母を頂点とするピラミッド構図
石の台座に座る聖母マリアの頭部を頂点に、幼子イエスと洗礼者聖ヨハネが左右に配置され、安定した二等辺三角形の構図を作っています。
受難を暗示するケシの花
画面に咲くケシの花は、イエスの受難と死、復活を意味するとされています。穏やかな草地の情景に、やがて訪れる運命がそっと差し込まれています。
ヨハネの十字架をつかむイエス
幼いイエスは左足を地面に立て、洗礼者聖ヨハネが持つ十字架に触れようとしています。聖母の手はイエスの腰を支えています。
レオナルドから学んだ構図
本作はラファエロがフィレンツェ滞在中に完成させた聖母子画のひとつです。同時期の『ヒワの聖母』や『美しき女庭師』も、2人の幼児に聖母が囲まれる似た構図をとっています。この3作に共通するのは、聖母が赤と青の衣服をまとい、同じ3人の人物が描かれている点です。
修復でわかった制作過程
1983年、美術史美術館は変色した加筆とニスを取り除く修復を行いました。この修復により、下塗りやジェッソの地の構成が『カウパーの小聖母』と類似していることが明らかになっています。青いマントの部分には、油層が不均一に乾いたことによるひび割れが見つかりました。赤外線調査では、下絵をパネルに転写した際の線もはっきりと確認されています。
メトロポリタン美術館に残る素描
ラファエロが本作のために描いた赤チョークの構図習作は、メトロポリタン美術館に所蔵されています。その裏側には解剖学的に正確な男性の姿が描かれており、別の作品『十字架降下』でイエスの隣にいる盗人の習作ではないかと考えられています。
よくある疑問
- 『牧場の聖母』はどこにある?
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オーストリア・ウィーンの美術史美術館に所蔵されています。長くベルヴェデーレ宮殿の帝国コレクションにあったことから『ベルヴェデーレの聖母』とも呼ばれます。
- 誰のために描かれた?
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フィレンツェの商人で人文主義者のタッデオ・タッデイのために描かれたと、ジョルジョ・ヴァザーリが伝えています。1662年にタッデイの子孫からオーストリア大公フェルディナント・カールに売却されました。
- 何が描かれている?
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聖母マリアと、幼子イエス・キリスト、幼い洗礼者聖ヨハネの3人です。聖ヨハネはフィレンツェの守護聖人だったため、フィレンツェで依頼された絵にはほぼ義務的に描き込まれました。
- 制作年はどうやってわかった?
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聖母マリアの衣装の縁飾りに刻まれた年記から、1506年の制作であることがわかっています。
基本データ
- 作者
- ラファエロ・サンティRaphael
- 制作年
- 1506年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、板
- 寸法
- 113 × 88 cm
- 様式
- 盛期ルネサンス
- 所蔵
- 美術史美術館(ウィーン)
- 展示室
- ルネサンス
ラファエロ・サンティのほかの作品
《アテナイの学堂》 《システィーナの聖母》 《小椅子の聖母》
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル