シャロットの女

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《シャロットの女》1888年
シャロットの女The Lady of Shalott
1888年
油彩、カンヴァス、183 × 230 cm
テート・ブリテン(ロンドン)
何がすごいのか

テニスンの詩を描いたこの絵の女性は、鏡越しにしか外の世界を見ることを許されていない呪いをかけられていました。ランスロット卿の姿を見てしまった彼女は、死を覚悟してこの舟でキャメロット城へと漕ぎ出します。舳先にはすでに2本が消えた3本のろうそくがあり、死が近いことを示しています。

見どころ

運命を受け入れた表情

呪いのさだめを破ったシャロットは、抵抗せずに運命に身を任せる表情を浮かべています。純白のドレスが背景の濃い暗がりと対比をなしています。

船首の十字架とろうそく

舟の手前にはイエスの磔刑像が置かれ、隣には3本のろうそくが立てられています。すでに2本の火が消えており、彼女の死が近いことを暗示しています。

自ら織ったタペストリー

彼女が座っているのは、鏡に映った外の世界を日がな織り続けてきたタペストリーです。細部への強いこだわりがよく表れた部分です。

テニスンの詩から

1842年に発表されたテニスンの詩が原作です。シャロットの女は自室に閉じ込められ、鏡越しに映る外の世界だけをタペストリーに織って暮らしていました。ある日、鏡にランスロット卿の姿を見つけ、思わずキャメロット城のほうを直接見てしまい、呪いが下ります。

ラファエル前派から数十年後

ウォーターハウスがこの絵を描いたのは、ラファエル前派というグループが解散してから数十年後のことです。それでも細部を精密に描き込む手法や鮮やかな色彩には、この派の強い影響が見られます。テニスンの詩はこの派の詩人や画家に好まれた題材で、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティやウィリアム・ホルマン・ハントらも同じ主人公を描いています。

同じ主題を3度描く

ウォーターハウスは同じ人物を1888年、1894年、1915年の3つのバージョンで描いています。1894年版はランスロット卿を見つめる場面、1915年版は塔の中で影に飽きた様子を描いており、本作はそのなかでも舟を漕ぎ出す最も有名な場面です。ウォーターハウスは生涯を通じてテニスンとジョン・キーツの詩に打ち込み、キーツの詩からも複数の場面を描いています。

よくある疑問

『シャロットの女』はどこにある?

ロンドンのテート・ブリテンの所蔵です。1894年にヘンリー・テイトが寄贈し、通常は同館の展示室で見られます。

何が描かれている?

テニスンの詩『シャロットの女』のクライマックスです。呪いを破って外の世界を見てしまった主人公が、死を覚悟してキャメロット城を目指し、舟に乗り込む場面が描かれています。

なぜ呪いをかけられていた?

彼女は鏡を通してしか外の世界を見ることを許されず、そこに映ったものをタペストリーに織って過ごすさだめにありました。ある日、鏡の中にランスロット卿の姿を見つけて思わずキャメロット城の方角を直接見てしまい、呪いが発動しました。

ろうそくや十字架には意味がある?

舟の舳先に立てられた3本のろうそくのうち2本はすでに火が消えていて、彼女の死が近いことを表しています。手前に置かれたイエスの磔刑像も、死を暗示する象徴として描かれています。

基本データ

制作年
1888年
種別
絵画
技法・素材
油彩、カンヴァス
寸法
183 × 230 cm
様式
ラファエル前派
所蔵
テート・ブリテン(ロンドン)

出典・画像について

画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル

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