
この作品のデータ
| 作者 | 葛飾北斎 | 同じ作家の作品 5点 |
|---|---|---|
| 制作年 | 1831年頃 | |
| 時代 | 日本・近世まで | 同じ時代の作品 42点 |
| 様式 | 浮世絵 | 同じ様式の作品 12点 |
| 種別 | 浮世絵 | |
| 技法・素材 | 多色摺木版画(横大判錦絵) | |
| 所蔵 | 東京国立博物館東京 | 同じ所蔵の作品 7点 |
| 有名度 | ★★★名画クイズの無料の54点に収録 | |
| 展覧会 | フランス ナント「EXPOSITION HOKUSAI」凱旋展 小布施 北斎の傑作北斎館(長野県)2026年10月24日(土)〜2027年1月17日(日) | 開催中 |
| 展覧会 | 大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱〜海を越えた江戸絵画大阪中之島美術館(大阪府)2026年10月31日(土)〜2027年1月31日(日) | これから |
主役の富士山が、いちばん小さい。葛飾北斎の『富嶽三十六景』の1図『神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)』で、手前に砕ける大波は高さ10メートル超と推定され、3艘の船に約30人がしがみついています。当時5,000〜8,000枚が摺られ、現存は世界で約100点。ゴッホが絶賛し、千円札の裏にも選ばれました。
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見どころ
波頭の指
砕ける瞬間の波頭は、無数の爪のように分かれています。飛び散るしぶきは、遠くの富士に降る雪のようにも見えます。波の曲線は弧を描き、富士を中心にした構図を作っています。
小さな富士
『富嶽三十六景』の主題である富士山は、画面中央下に背景として小さく置かれています。本来は雄大な山を小さく描いて、手前の波の豪快さと対比させています。
硬直する30人
船は活魚などを運んだ押送船。船ごとに8人の漕ぎ手が艪にしがみつき、船首に2人以上の乗客が見えます。動く波に対して人々は固まっていて、その対比が緊張を生みます。
三大役物
『富嶽三十六景』は全46図。そのうち「凱風快晴」「山下白雨」とこの図を合わせて三大役物と呼びます。北斎の画業全体を通しても、もっとも広く世界に知られた代表作です。画面左上の枠内に題名「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」、その左に署名「北斎改為一筆」があります。
螺旋の構図
一筋一筋の水の流れ、波のうねり、波に沿う船の動き、富士のなだらかな稜線は、いずれも幾重にも折り重なる対数螺旋の構成要素になっています。版木の摩耗の状態から、当時から人気が高かったことがわかります。
海を渡った絵
1800年代にはヨーロッパに渡り、ゴッホが絶賛するなど後期印象派の画家たちに影響を与えました。ドビュッシーの『海』の楽譜の表紙にこの図が印刷されたことから、曲の着想をこの絵から得たという話がありますが、根拠のない俗説です。2024年発行の千円紙幣の裏面と、日本国旅券の査証ページにも採用されています。
現存数と落札額
大英博物館の研究者の調査では、13か国58機関に77点が確認され、うち日本に16点、アメリカに35点があります。ほかに34点ほどが画商や個人の手元にあると考えられています。2003年のオークションでは、1枚に2万3,000ユーロの値がつきました。前年の2002年には、この図を含む『冨嶽三十六景』46図の揃いが135万ユーロで落札されています。
よくある疑問
- 『神奈川沖浪裏』はどこで見られる?
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版画なので原本が1点ではありません。当時5,000〜8,000枚が摺られたと大英博物館は推測し、現在は世界中に約100点が現存すると考えられています。東京国立博物館、すみだ北斎美術館、メトロポリタン美術館、大英博物館など日本と世界の主要な美術館が所蔵しています。
- この波は津波?
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津波と解釈されるようになったのは1960年代以降で、それ以前は通常の波として見られてきました。描かれた波は波長が短く、津波の描写ではありません。2019年に英国の大学が実験で作った一発大波(フリークウェーブ)の形がこの波によく似ていると報告されています。
- 『神奈川沖浪裏』はいつ描かれた?
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天保年間の1830〜1834年頃の作品とされます。柳亭種彦の『正本製』に載った広告から、1831年(天保2年)に出版されたという説が有力です。北斎が70歳を過ぎた頃にあたります。
- 「神奈川沖」はどこ?
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神奈川宿(現在の横浜市神奈川区)の沖合です。ただし描かれた押送船は房総半島から江戸へ海産物を運ぶ船なので、東京湾の対岸にあたる木更津沖から富士を望んだという説もあります。北斎は1803年頃にも、同じ海を描いた『賀奈川沖本杢之図』を残しています。
葛飾北斎のほかの作品
《富嶽三十六景 凱風快晴》 《富嶽三十六景 山下白雨》 《東海道江尻田子の浦略図》 《富士越龍図》
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル
