
もとは尾形光琳の『風神雷神図屏風』の裏面に描かれていた屏風です。雷神の裏には夕立に打たれる夏草、風神の裏には強風に吹かれる秋草が配され、表と裏が対になっていました。傷みを防ぐため、今は表裏が切り離されて別々に保存されています。
見どころ
夕立に打たれる夏草
光琳の雷神の裏面にあたる隻には、にわか雨に打たれてしなる夏草と、水かさを増した川の流れが描かれています。銀地に映える群青と緑の対比が涼しさを伝えます。
強風になびく秋草と蔦の紅葉
風神の裏面にあたるもう一隻には、強い風に揺れる秋の草花と、赤く色づいた蔦の葉が描かれています。同じ銀地でも季節ごとに異なる色調が選ばれています。
銀地に施されたたらし込み
銀箔地の上に、乾く前の絵の具に別の絵の具を重ねる「たらし込み」の技法で草花が描かれています。この技法は俵屋宗達が完成させ、光琳を経て抱一に受け継がれました。
光琳の名画の裏に描かれた作品
『夏秋草図屏風』は、光琳の『風神雷神図屏風』の裏面に描かれました。雷神の裏には夕立に打たれる夏草と増水した川の流れが、風神の裏には強風になびく秋草と紅葉した蔦が配され、表の風神雷神と呼応する構図になっていたとされています。表裏一体だったこの大作は琳派を象徴する存在でしたが、保存のために両面が切り離されました。
詩情と装飾の融合
抱一の作風は、詩的な情趣と装飾的な技巧とを自然に結びつけることを目指したものと評されています。俳諧など詩歌にも通じていた抱一らしい、洗練された趣向が反映されているとされます。とりわけ、乾いていない絵の具の上に別の絵の具を重ねる「たらし込み」の技法を用いて草花に詩情を込めた点が高く評価されてきました。この技法は俵屋宗達によって完成され、後の琳派の画家たちに広く用いられました。
落款とその年代
両隻には「抱一筆」の署名印と、抱一が用いたもうひとつの号「鶯村」の丸印が押されています。制作年は明記されていませんが、19世紀初頭、おおよそ1821年ごろの作とされ、抱一の筆であることに異論はありません。
よくある疑問
- 『夏秋草図屏風』はどこにある?
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東京国立博物館の所蔵です。重要文化財に指定されています。
- 誰が描いた?
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酒井抱一です。江戸琳派を代表する画家で、尾形光琳の様式を再興したことで知られています。
- なぜ光琳の絵と関係があるの?
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この屏風はもともと、抱一の家に伝わっていた尾形光琳筆『風神雷神図屏風』の裏面に描かれたものでした。表裏一体の大作でしたが、保存上の問題から現在は両面が切り離され、別々に保管されています。
- 抱一とはどんな画家?
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1761年から1828年まで生きた江戸時代の画家で、屏風絵を得意とし、江戸琳派の重要な担い手とされています。この屏風は抱一の代表作のひとつに数えられます。
基本データ
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル