
弟子入りを許してもらえなかった慧可は、雪の降る日に自らの左腕を切り落として決意を示しました。水墨画なのに、切り落とした腕から流れる血と口元にだけ赤色が使われています。雪舟の国宝6点のうち、人物画は本作だけで、あとはすべて山水画です。
見どころ
濃墨で描かれた達磨の顔
達磨の衣は極太の淡墨で簡潔に描かれ、体は背景の洞窟に溶け込むようですが、顔だけは濃墨で強く描き込まれています。ほぼ等身大の大きさで表されています。
血の色をした赤
切り落とした慧可の腕から流れる血と、口元には赤色が使われています。水墨画で墨以外の色を使うのは珍しく、慧可の痛みを際立たせる効果を生んでいます。
皴法で描かれた洞窟の岩肌
洞窟のゴツゴツとした岩肌は、中国絵画に由来する「皴法」という技法で描かれています。穴の空いた岩は雪舟がたびたび描いたモチーフです。
雪舟77歳の作
本作は雪舟が明から帰国しておよそ30年後、77歳のときの1496年に描かれました。画面左には「四明天童第一座雪舟行年七十七歳謹図之」の款記があります。「四明天童第一座」とは、雪舟が明で授かった称号です。構図は、明の画家戴進による『達磨六代祖師図巻』の影響を受けているといわれています。
佐治氏から斉年寺へ
雪舟の没後、1532年(天文元年)に尾張国大野城主だった佐治為貞が、本作を斉年寺に寄贈しました。このことは、別途保存されていた絹地の墨書から判明しています。江戸時代に狩野惟信が制作した模本が東京国立博物館に伝わっています。
よくある疑問
- 『慧可断臂図』はどこにある?
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京都国立博物館に所蔵されています。所有者は愛知県の斉年寺で、同寺から京都国立博物館に寄託されています。斉年寺には複製が置かれています。
- どんな場面が描かれている?
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禅宗の初祖・達磨に弟子入りを願う慧可が、その決意を示すため自らの左腕を切り落とした場面です。達磨はこれを受け入れ、弟子入りを認めました。
- 国宝に指定されている?
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2004年(平成16年)に国宝に指定されました。雪舟の国宝は6点あり、そのほかはすべて山水画で、人物画は本作だけです。
- 誰が注文した?
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はっきりした記録はありませんが、絵の巨大さと精緻さから、有力な権力者からの注文制作と考えられています。
基本データ
雪舟のほかの作品
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル