枢機卿カミーロ・パンフィーリが対の絵として発注しましたが、結婚のために枢機卿の座を捨て、絵は行き先を失いました。最終的にブイヨン公が引き取っています。この絵は1824年、ナショナル・ギャラリー設立の基礎となった38点の1つとなりました。のちにターナーが自作を隣に並べる条件で遺贈するほど影響を受けています。
見どころ
シバの女王と一行
女王は赤いチュニックとロイヤルブルーのマント、金の王冠を身につけ、侍女を従えて階段を下りています。侍女たちはソロモン王への贈り物である財宝や香料を手に持っています。
階段の隅のブイヨン公
画面右下隅の最後の階段には、この絵の依頼主となったブイヨン公フレデリックの姿が描き込まれています。制作の経緯を絵の中にとどめた形です。
朝日が照らす港
早朝の太陽が海を照らし、建築物の暗さとの対比で空に奥行きを与えています。黄土色とチタンホワイトのグラデーションで夜明けの光を描いています。
行き先を失った絵
もともとは枢機卿カミーロ・パンフィーリが対作品とともに発注しました。しかしカミーロは母の勧める縁談を退け、オリンピア・アルドブランディーニとの結婚のために枢機卿を辞任し、2人はローマを去りました。受け取り手を失った絵は、最終的にブイヨン公フレデリックのために制作されることになりました。
塔に込めた依頼主の名
対作品どちらにも塔が描かれています。ブイヨン公の姓ド・ラ・トゥール・ドーヴェルニュは「オーヴェルニュの塔」を意味し、一族は石造りの塔を紋章としていました。本作右側と対作品左側に立つ丸い塔は、依頼主を表す象徴と考えられています。
ナショナル・ギャラリーの礎に
18世紀を通してブイヨン公爵家が所蔵していましたが、フランス革命後に美術商エラールがパリで売却しました。銀行家ジョン・ジュリアス・アンガースタインが購入し、彼の死後、国家によってコレクションごと購入されて1824年のナショナル・ギャラリー設立とともに同館の所蔵となりました。
よくある疑問
- 『シバの女王の乗船』はどこにある?
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ロンドンのナショナル・ギャラリーが所蔵しています。1824年の同館設立の際に取得された38点のうちの1点です。
- 何が描かれている?
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旧約聖書「列王記上」10章に登場するシバの女王が、イスラエル王ソロモンを訪ねるために船出する場面です。通常この主題では女王とソロモンが出会う場面が描かれますが、出発の場面を選んだのは図像学的に珍しいとされています。
- 誰の依頼で描かれた?
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もともとはローマ教皇イノケンティウス10世の甥カミーロ・パンフィーリ枢機卿が、対作品『イサクとリベカの結婚のある風景』とともに発注しました。しかしカミーロは結婚のために枢機卿を辞任し、絵は最終的にブイヨン公フレデリック・モーリス・ド・ラ・トゥール・ドーヴェルニュのために制作されました。
- ターナーとどんな関係がある?
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この絵をはじめとするクロード・ロランの作品は、風景画家ターナーに影響を与えました。ターナーは自作『カルタゴを建国するディド』などを、クロード・ロランの対作品の横に展示することを条件に国へ遺贈しています。
基本データ
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル
