
同じ題名のボッティチェッリの絵とはまったく違う雰囲気の絵です。ブグローのヴィーナスはラファエロやボッティチェッリの名画を踏まえながら、より女性らしい曲線を強調した官能的な姿で描かれています。モデルはベルギー貴族の令嬢とされ、前年にブグローが描いた別の絵の女性とほぼ同じポーズをとっています。
見どころ
貝殻に立つヴィーナス
ヴィーナスはホタテガイの貝殻の中に裸で立っています。ラファエロの『ガラテイアの勝利』やボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』を踏まえながら、より女性らしい曲線が強調された官能的な姿で描かれています。
貝殻を引くイルカ
ヴィーナスの象徴のひとつであるイルカが、彼女の乗る貝殻を引いています。
到着を告げるケンタウロス
画面両脇にはニュンペーとケンタウロスが集まり、ヴィーナスの到着を見守っています。ケンタウロスのうち2頭は巻き貝とほら貝を吹き鳴らして彼女の到着を知らせています。
サロンからオルセーまでの道のり
この絵は1879年のサロンに出展された後、同じ年にリュクサンブール美術館に買い上げられました。1920年までそこで展示され、その後ナント美術館で保管された時期を経て、1979年からパリのオルセー美術館で展示されています。
巨匠たちへのオマージュ
題材や構図は、ラファエロ・サンツィオの『ガラテイアの勝利』や、サンドロ・ボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』といった巨匠の作品を踏まえています。ただしブグローが描いたヴィーナスは、より女性らしい曲線が強調され、官能的な作品に仕上がっています。
モデルとポーズの使い回し
ヴィーナスのモデルは、ベルギー貴族ウジェーヌ1世・ド・リーニュの末娘とされています。このポーズは、ブグローが前年の1878年に描いた『ニンファエウム』の左端に描かれたニュンペーとほぼ同じです。
よくある疑問
- 『ヴィーナスの誕生』(ブグロー)はどこにある?
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パリのオルセー美術館が所蔵しています。1879年のサロン出展後にリュクサンブール美術館が買い上げ、1920年までそこで展示されたのち、ナント美術館を経て1979年からオルセー美術館で展示されています。
- ボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』と何が違う?
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同じ主題ですが、描かれた時代も画風もまったく異なります。ボッティチェッリの絵は15世紀のテンペラ画で、ヴィーナスは片手で身体を隠す慎ましい姿です。ブグローの絵は19世紀の油彩画で、女性らしい曲線を強調した、より官能的な姿で描かれています。
- 何の場面が描かれている?
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ギリシア神話の女神ヴィーナスが、海からキプロスのパフォスまで貝殻に乗って移動する場面です。クピードーやプシューケーを含む15人のプット、ニュンペー、ケンタウロスらがヴィーナスの到着を出迎えています。
- モデルは誰?
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ベルギーの貴族で外交官だったウジェーヌ1世・ド・リーニュの末娘、マリー・ジョルジーヌ・ソフィー・エドウィッジ・ウジェニーとされています。前年にブグローが描いた『ニンファエウム』の左端のニュンペーとほぼ同じポーズをとっています。
基本データ
- 作者
- ウィリアム・アドルフ・ブグローWilliam-Adolphe Bouguereau
- 制作年
- 1879年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 300 × 217 cm
- 様式
- アカデミック美術
- 所蔵
- オルセー美術館(パリ)
- 展示室
- 印象派以後
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル