信貴山縁起

作者不詳《信貴山縁起》平安時代末期(12世紀頃)
信貴山縁起Shigisan Engi Emaki
平安時代末期(12世紀頃)
朝護孫子寺(原本は奈良国立博物館に寄託)
何がすごいのか

人物の表情や躍動感を軽妙な筆致で描き、『鳥獣人物戯画』とともに日本の漫画文化のルーツとされる絵巻です。信貴山で修行した僧・命蓮が起こした奇跡を描き、鉢に乗って長者の倉が空を飛んでいく場面がとくに知られています。1951年に国宝に指定されました。

見どころ

宙に浮く倉

長者が鍵をかけて閉じ込めてしまった倉が、ゆさゆさと揺れて浮き上がり、山のかなたへ飛び去っていきます。空を飛ぶ倉という奇跡が、絵巻特有の横長の画面いっぱいに描かれています。

驚いて見上げる人々

倉が宙に浮くのを見て、長者一行が驚いて空を見上げています。表情や動きを軽妙な筆致で描き分けた、この絵巻の見せ場のひとつです。

命蓮の鉢

倉を運んだのは、命蓮が神通力で麓の長者宅へ飛ばしていた托鉢用の鉢です。長者が鉢を倉の隅に放っておいたことが、この騒動の発端でした。

命蓮の奇跡を描いた三巻

本作は、平安時代中期に信貴山で修行し、当山の中興の祖とされる命蓮に関する説話を描いた絵巻です。「山崎長者の巻」(飛倉の巻)、「延喜加持の巻」、「尼公の巻」の3巻からなり、それぞれの縦幅は31.7cmで、長さは879.9cmから1424.1cmに及びます。

作者は不明ですが、平安時代後期の12世紀頃の成立とされています。『伴大納言絵詞』と比べると素朴で牧歌的な味わいがあり、時間の経過や動きの表現が多様で実験的なことから、こちらの方が先に成立したという意見もあります。

3つの物語

「山崎長者の巻」では、命蓮が神通力で飛ばした鉢を長者が粗末に扱ったことから、長者の倉ごと信貴山まで飛んでいく騒動が描かれます。「延喜加持の巻」では、命蓮の祈祷によって醍醐天皇の病が癒え、剣をまとった護法童子が雲を引きながら空を飛ぶ場面が描かれます。「尼公の巻」では、信濃国から命蓮を訪ねてきた姉の尼公が、東大寺の大仏の前で祈りながらまどろむ様子が、同じ画面に時間の異なる場面を重ねる異時同図法で描かれており、創建当時の大仏と大仏殿を伝える貴重な資料としても知られています。

国宝と四大絵巻物

本作は1951年に国宝に指定され、『源氏物語絵巻』『鳥獣人物戯画』『伴大納言絵詞』と並ぶ日本の四大絵巻物の1つとされています。人物の表情や躍動感を軽妙な筆致で描いたその画風は、『鳥獣人物戯画』とともに日本の漫画文化のルーツのひとつともいわれています。

よくある疑問

『信貴山縁起』はどこにある?

朝護孫子寺の所蔵ですが、原本は奈良国立博物館に寄託されています。朝護孫子寺の霊宝館では複製が展示されています。

何が描かれている?

信貴山を中興した僧・命蓮の起こした奇跡の物語です。長者の倉が空を飛ぶ「山崎長者の巻」、命蓮の祈祷で醍醐天皇の病が癒える「延喜加持の巻」、命蓮の姉の尼公が信貴山を訪ねる「尼公の巻」の3巻からなります。

国宝に指定されている?

1951年に国宝に指定されました。『源氏物語絵巻』『鳥獣人物戯画』『伴大納言絵詞』と並び、日本の四大絵巻物の1つとされています。

誰が描いた?

筆者は不明です。『伴大納言絵詞』や『源氏物語絵巻』と同様に、後白河法皇が関与したという説もありますが、確証はありません。

基本データ

制作年
平安時代末期(12世紀頃)
種別
絵巻
寸法
縦 31.7 cm、3巻合わせて全長約36 m
所蔵
朝護孫子寺(原本は奈良国立博物館に寄託)

作者不詳のほかの作品

《蒙古襲来絵詞》

出典・画像について

画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル

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